寝坊が身にしみる。

朝目覚めると時計が7時を指している。
なんてこったい、乗らなければならないバスが出るまで後20分しかない。
自分でも感心するくらいの見事な寝坊だ。
慌てて飛び起き途中まで準備をしておいたバッグをつかんで同僚たちの待つ集合場所まで急ぐ。


走ったり、タクシーに乗ったりしてなんとか出発前のミーティングをしているところへ滑り込む。
ひたすら頭を下げる。

6時間ほどバスに乗って出張先の寒い国へ到着。
ひと仕事終えてからやっとシャワーを浴びてホッとする。


自由な時間となったのだが、出掛けにこの出張中に読むつもりだった本を入れ忘れてきてしまったことに気づく。鞄には昨日から入れっぱなしの「映画が目にしみる」があるだけだ。残りは僅か50ページ。今日読み終わってしまう。後4日間をどう過ごしたらいいのだ。ここには本を読む時間があり、家には読みたい本が山ほどあるのにその二つが空間的な隔たりによって引き裂かれているのだ。
山の中のホテルで近くに本屋などはない。仕方がないので同僚の持ってきた本を1冊貸して貰う。
「映画が目にしみる」読了。


同僚に借りた本なのだが、あまり読む気になれず。
ああ、寝坊が身にしみる。