台風が変えたもの。


 台風一過の残暑の中を野外仕事に出ると、つい先日まで何の問題もなく充実し、うまくいっていたものが、今日見てみると表面上は同じ姿をしていながらどこか精彩にかけ、すでに何かが失われてしまったかのようにしか見えなくなっていた。


 ちょっと落胆して自分の机に戻ると出張に出ていた同僚からうれしい知らせが。先程の件もあったのでうれしさ倍増で近場の人にその情報を吹聴していたまではよかったのだが、そのすぐ後に別件の悪い知らせが入る。また、ずうんと気分が重くなった。


 思うにまかせぬ気分を抱えながら退勤。


 TSUTAYAでCD5枚1000円セールをやっていたので「特選桂米朝落語全集」を5枚借りる。クーポン券をくれたのでめくってみるとブックオフ200円引き券だった。これで先日のものと合わせて400円引きか。ああ、ブックオフに行きたくなってきた。しかし、ずっしりと体にのしかかる疲労感がその気持ちを鎮火。


 すごすごとバスに乗って帰る。今日は桂枝雀「子ほめ」を聴いた。


 帰宅して何もする気力なく、狩野俊「高円寺古本酒場ものがたり」(晶文社)の続きを読む。日記を終えて「一九九八年春・国立で」から「二〇〇四年冬・高円寺あづま通り」までの古本酒場コクテイル史を読んだ。狩野さんの前向きと後向き、笑い顔と泣き顔を裏表に書いた回転式の看板が風にくるくる回るような日々の連なりを読むのが今日の気分に不思議としっくりきた。


 月曜にコクテイルへ行くのが待ち遠しくなってきた。