謎のタケペプシ。

 朝、職場でひと仕事済ませてから、場所を変えてチームで仕事。根を詰める作業なので疲れた。


 夕方仕事終了。今日は家で持ち帰りの仕事をやるつもりだったのだが、このところずうっと心に引っかかっていたやっかいな仕事に一段落ついたため、どこかへ出かけたくなる。岡崎武志さんのちくま文庫新刊発売記念のイベントが高円寺の古本酒場コクテイルで今夜あることを思い出し、行くことに決める。


 まずは、本屋に寄って車内読書用の本を物色。今日の昼は職場持ちだったから、飯代本が買えるのだ。小説が読みたい気分だったので、これにする。

神を見た犬 (光文社古典新訳文庫)

神を見た犬 (光文社古典新訳文庫)


 車内で早速読み出す。奇妙な味の幻想小説集というような評判を聞いていたのだが、想像していたよりシャレていて軽みのあるコント集といった感じ。最初の「天地創造」など落語のマクラでよく使われる出雲大社で縁結びをするために集まる神様たちの話を思い出すようなおかしみと味わいがある。評判のいい「七階」は、病気が重くなるほど階が下がっていく病院で、なぜか気がつくとどんどんと下の階へと移動させられていく男の話。その場その場では一時的な措置であったものが積もり積もっていくうちに逃げられない地点まで男を追い込んでいく様が不気味に怖い。


 高円寺に到着。まだイベント開始時間まで30分ほどあるため、腹ごしらえに一度入ってみようと思っていた駅前の大一市場内のつけ麺屋に行ってみると“準備中”の看板が。そこで隣りにあるベトナム料理のチョップスティックへ。蒸し鶏のフォーを食べる。スープがおいしい。


 コクテイルに行くと、すでに岡崎さんが来ていた。筑摩書房の方から『ちくま』10月号と「ちくま文庫解説傑作集」をいただく。
 すでに来ていた退屈男さんから『東京生活』最新号を見せてもらう。第二特集が古本屋を取り上げており、“わめぞ”関係者も揃って登場。なかなか充実した特集だ。


 荻原魚雷さん、コウノさん、北條さん、北條さんの知り合いのノンさんの姿も。


 岡崎さんのトークが1時間ほど。その後、石丸澄子さん、魚雷さん、岡崎さんの3人で「古本病のかかり方」発売記念のトークショー。石丸澄子さんがマッチ箱に古本占いの紙を入れたものを全員に配ってくれる。箱を開けると折り畳まれた紙が入っており、そこには「会いたい人はいますか?」と書いてあった。つまり古本病が重傷で、余命幾ばくもないというお告げですね。さっき読んだ「七階」を思い出した。
 

 会場で売られていた著者の岡崎さん、装幀の石丸さん、解説の魚雷さんという3人のサインの入った「古本病のかかり方」(ちくま文庫)を購入。前に買った方は友人に譲り、こちらは自分用にとっておくつもり。


 こんどこのコクテイルで行われる山崎ナオコーラさんと長嶋康郎さん(長嶋有氏の父)のトークショーの告知のときに岡崎さんが「山崎ナオコーラに対抗して岡崎タケペプシにしようかと思った」と言ったのがおかしかった。


 10時前に店を辞して、帰ってくる。車中は「神を見た犬」を読み継ぐ。