バスから見た星と月。


 昨夜は床についてからいろいろと考えてしまいなかなか寝付けず、午前3時過ぎにやっと眠れたと思ったら5時には目が覚める。いつもより30分ほど早いが、このまま二度寝してしまうと起きられなくなりそうだったので床をあげてしまう。


 熱いシャワーを浴びて、仕事へ。いつもよりかなり早く職場についたため、入口の門を警備の人に開けてもらう。こんなの初めてだ。


 コンビニで買ってきた朝食をとった後、栄養ドリンクを飲む。もともと寝ないとだめなたちで、学生時代でも徹夜というものをしたことがないくらい。それが睡眠2時間弱というのはほとんど自分の意識の中では外見上も人間のカタチをしていない状態である。
 そのため、今日は前倒し仕事さえ仕上げればあとはとりあえず生きているだけでいいことにする。同僚各位には申し訳ないが、そういう日もあるのです。


 まだ朝の清掃活動を清掃会社の人たちがしている中で、パソコンに向かう。なんとかタイムリミットの午前中までに仕上る。


 昼過ぎに職場を出て平塚へ出張する。3時前に平塚着。現場には4時までにいけばいいので、平塚駅西口前にある萬葉堂書店に寄る。以前に岡崎武志さんの「気まぐれ古書店紀行」を読んで一度来たことがあり、小さいながらとても品と味わいのある店の雰囲気がよかった印象が残っている。
 店主の方が高齢であったから、まさか亡くなっていたりしないだろうなと不安を感じながら西口(海岸側)出口を出るとその前に変わらぬ姿で店はあった。店主の方も変わらぬご様子。ほっとする。
 時間もないので、さっと棚を見てこの2冊を選ぶ。

 駅前からバスに乗って出張場所へ。2時間ほどで仕事終了。


 駅前まで戻り、重くなりがちな気分を晴らすためにブックオフへ。この店はズラッと並んだコミックの棚を抜けていくとその奥の半地下部分に文庫・新書・単行本のエリアがある。
 今日はじっくり眺めるだけの体力も気力もないのでざっと眺めて文庫を3冊。


 東海道線に乗って横浜へと帰る。車中は読みかけだった小林信彦「花と爆弾」(文春文庫)を読む。東横線に乗り継いで最寄り駅まで来た時にちょうど読了。


 「花と爆弾」に出てきた大貫妙子「ライブラリー」をiPodで聴きながらバスに揺られる。昨日の夜からの思いが歌にもみほぐされて胸が詰まりそうになったため、車窓から空を見上げると強い光を発している星ひとつと爪の先のような薄い月がかかっている。その2つを眺めるのに集中しているうちにバス停についた。


 帰宅して夕食をとり、久し振りに湯舟に湯を溜めて風呂に入る。灯を消してひとつだけ残っていたアロマキャンドルに火をつけ、アン・サリー「和歌集」を聴きながら、汗を流す。「アフリカの月」を聴きながら口笛を吹く。


 《古い港町流れる 夕暮れの口笛
  海のにおいに恋した
  あれは、遠い日の少年 》


 《僕は夢みる 波の彼方の黒い大陸
  椰子の葉陰で踊る星屑
  見上げる空には アフリカの月》


 口笛を吹きながら、バスから見た星と月を思い浮かべる。


 風呂からあがり、Nさんから外市でもらったDVDを観る。TV番組「美の壺」では“文豪の装丁”を特集。谷啓さんがパーソナリティ。古書通信社の八木福次郎さんや中野書店の中野さん、それから金沢の限定本制作の亀鳴屋さんなどが映る。つづいて「情熱大陸」の“立川志の輔”。志の輔師匠のしゃべり方や落語をするときの腕の仕草が家元によく似ているなと思う。とにかく、一度ライブで高座を聴かなければいけないな、これは。


 明日も平塚へ出張。月曜から水曜までは京都へ。都合明日から4日間職場へはいかなくなる。これが今の僕には一番の良薬だろう。


 今日のBGM。「BLUE MOON」という曲が大好きなので、期待してかけたらどうも耳に馴染んだあのメロディがでてこない。慌てて曲名を見直したら「BLUE ROOM」だった。


デトロイト・ニューヨーク・ジャンクション (紙ジャケット仕様)

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