みすず書房が面白い。

今日は遅番の日。起き抜けの寝床で坪内祐三「古本的」を少し読み、その後小三治師匠の「小言念仏」を聴きながら朝風呂に入る。
5時間近い会議を終えて仕事場を出ると、雨。バスに乗りながらipod文楽志ん朝両名人の「酢豆腐」を聴き比べる。志ん朝師匠の描写力の素晴らしさにうっとりする。世の中にはこんなに面白いものを知らずに一生を終える人もいるのだなあとふと思ってしまう。
書店により1冊購入。

元版をすでに持っているのだが、この手の本を見るとどうしても買ってしまう。収録されている文章は同じで、巻末の“古書店セレクトマップ”と“オンライン古書店ガイド”だけが改訂されているようだ。たぶんこの本が“あの”本なのだろうなと思う。
昨晩、みすず書房のHPで「理想の教室」という新シリーズを発見する。みすず版ちくまプリマー新書といったところか。個人的にはちくまよりこちらのラインナップに魅了される。以下にその一覧を挙げておく。☆印は興味を惹かれたもの。

第1回配本5点 2005年6月10日刊
亀山郁夫 『悪霊』神になりたかった男(☆)
河合祥一郎 『ロミオとジュリエット』恋におちる演劇術
加藤幹郎 ヒッチコック『裏窓』ミステリの映画学(☆)
細見和之 ポップミュージックで社会科
吉永良正 『パンセ』数学的思考

第2回配本5点 2005年7月10日刊
石原千秋 『こころ』大人になれなかった先生(☆)
巽孝之 『白鯨』アメリカン・スタディーズ(☆)
水林章 『カンディード』<戦争>を前にした青年
千葉一幹 『銀河鉄道の夜』しあわせさがし
小倉孝誠 『感情教育』歴史・パリ・恋愛(☆)

以降隔月2点ずつ刊行(10日発売)順不同

佐々木幹郎 中原中也、悲しみからはじまる
小森陽一 『坊っちゃん』は漱石じゃない(☆)
西成彦 『耳なし芳一』世界文学として読む(☆)
佐藤良明 音楽の時間はビートルズ(☆)
松浦寿夫 リキテンシュタインで現代美術入門
小谷真理 『メアリー・ポピンズ』大人の読み方
柴田元幸 『ハックルベリー・フィン』アメリカの源泉(☆)
和田忠彦 『ピノッキオの冒険』は子ども学(☆)
荻野アンナ 『ガルガンチュア』ラブレーで元気になる法
宮下志朗 モンテーニュ『人食い人種について』
川端康雄 『動物農場』にみる政治学
三原弟平 カフカ『断食芸人』を読む
木村榮一 『ドン・キホーテ』と旅する世界文学史(☆)
樋口陽一 「日本国憲法」は日本だけのものじゃない
アーサー・ビナード 英語にしてみる日本の詩(☆)
ジョルジョ・アミトラーノ 川端康成『山の音』こわれゆく家族(☆)
大野和士・水林 章 モーツァルトフィガロの結婚」でオペラ入門
岡田温司 ボッティチェッリヴィーナスの誕生」絵画を読む


大人の本棚」シリーズといい、みすず書房の充実に拍手を送りたい。