お嬢さまの「坂の上の雲」。

この年の瀬に来てやっと本をのんびり読む余裕が出てきた。仕事は30日まであるのだが、忙しくはないので気は楽である。


携帯本では福島正実「未踏の時代」(早川文庫)を読んでいる。これを読み始めたのは自宅本として読んでいた宮田昇「新編戦後翻訳家風雲録」(みすず書房)にこの本が出てきたからだ。その前には荒川洋治「文学の門」(みすず書房)を読んでいて、そこに登場する詩人たちの幾人かは翻訳家でもあり、以前に本の雑誌社版を読んで面白かった宮田本を思い出し、書き下ろしの追加項目の入った<みすず大人の本棚>シリーズ版で再読したのだ。

未踏の時代 (日本SFを築いた男の回想録) (ハヤカワ文庫JA)

未踏の時代 (日本SFを築いた男の回想録) (ハヤカワ文庫JA)

文学の門

文学の門

新編 戦後翻訳風雲録 (大人の本棚)

新編 戦後翻訳風雲録 (大人の本棚)

 次の自宅本は黒岩比佐子「明治のお嬢さま」(角川選書)にする。秋から読み進めてきた「坂の上の雲」を先日全巻踏破し、心も体も明治を求めているので。

明治のお嬢さま (角川選書)

明治のお嬢さま (角川選書)

読み始めてすぐに「坂の上の雲」の裏ヒーローとでも言うべき乃木希典学習院女子部の院長として登場する。この本を選んで正解だと思いつつ第5章までの約120ページを読んだ。時代は下るが昭和初年頃の女子学習院を舞台にした北村薫「街の灯」シリーズによく出てくる爵位に就いても黒岩さんは丁寧に解説してくれている。北村本を読む前に「明治のお嬢さま」を読んでおくべきだったなとちょっと反省。前著の独歩本同様、古書展などで黒岩さんが集めた明治の雑誌がまさに有効利用されている。明日残りの章を読むのが楽しみだ。