BLUE MOON。


 昨日の誕生日は、野外仕事と歯医者で終わった。


 麻酔を何本も打たれ、歯をガリガリやられた自分を慰めるように本を買う。


本の雑誌406号2017年4月号

本の雑誌406号2017年4月号




 愛読している漫画の「BLUE GIANT」の最終巻とその続編「BLUE GIANT SUPREME」が同時発売されていた。19歳だけのジャズバンド“JASS”が衝撃的な解散をし、主人公の「大」はドイツにアルトサックスを携えて渡っていく。一つの終わりを告げる最終巻の濃い青と新たな旅立ちを告げる第1巻の明るい青の対比もいい。


 「漢和辞典的に申しますと」は著者が色々な媒体に書いていた漢字に関するコラムをセレクトした文庫オリジナル。何度見てもこの円満字二郎という著者名は己の職業を予見するような見事な名前だなあと感心する。


 『本の雑誌』を雑誌棚で見て「えっ、白い」とちょっと驚く。今号から表紙のデザインが和田誠さんからクラフト・エヴィング商會に変わったとのこと。ただ、中身はいつも通りの『本の雑誌』なので安心する。



 今日は、午前中に出張野外仕事を終えてから昼過ぎに職場へ。

 職場のコンピューター施設を使って行われるある検定試験の試験監督の仕事がヘルプで入る。試験開始は1時30分。試験時間は60分だから紙のテストなら2時30分には終わる計算になる。しかし、このコンピューターを使ったテストは、パソコン等の操作を必要とするため本試験の前に必ず練習問題が入ることになっている。この練習問題をやっている時間は試験時間に含まれない。そのため、試験開始から試験終了まで60分以上かかり、最大何分になるかはその受検者が練習問題にどれくらい時間を費やすかで変わってくるという試験監督泣かせの検定である。しかも、うちの職場がやっているのではなく、外部の団体がやっている検定であるため、こちらで勝手に開始時間を変更することもできない。そして、今日は3月11日である。例年職場では2時46分に1分間の黙祷を捧げることになっている。それは今年も同じだ。しかし、1時半に始まった試験が2時半に終わっている保証はない。むしろ2時半には終わっていない可能性の方が高い。黙祷の時間までに試験の終わっていない受検者がいた場合、こちらで試験を1分間中断して黙祷をしてもらってから再開するということができない。外部団体の検定ソフトはその間も刻々とタイマーの持ち時間をきっちりと1分間減らして行ってしまう。2時46分が近づいた時、検定会場に残っていたのは若い女性ひとりだけだった。我々監督者は彼女に、黙祷は気にせず試験を続行して構わない旨を伝えた。黙祷は強制されるものでも、義務でもない。そして、我々も検定が行われている以上、目を閉じることはできない。2時46分を告げる放送が流れた時、彼女は自分から試験終了のボタンを押し、試験を終えて目を閉じた。それを見た我々もまた目を閉じ、黙祷を行なった。この検定ソフトには試験終了ボタンがあり、持ち時間がまだ残っていてもこれで試験を終えて構わないと受検者が判断した場合、そのボタンを己の意思で押すことができる。彼女はそのボタンを押して我々にも黙祷のチャンスを与えてくれた。多分、状況から考えて彼女の残り時間は1分程度だったと思う。その1分程度を検定ではなく、黙祷に使うことを選んだのだろう。




 帰宅して、例年のごとくアン・サリー嬢の歌う「満月の夕」を聴く。