満月を数える。

 昨日は誕生日だった。


 ここ数年、誕生日はただの誕生日であることをやめ、震災の前日という役割を担わされるようになった。つまり、誕生日と東日本大震災を分けて考えることができなくなってしまったということだ。別にそれは悪いことではないし、ただの誕生日が何か意味のあることのようにも思えてくる。とりあえず、もう己の誕生日を“ただの一日”としてやり過ごす気楽さが二度と戻ってこないんだろうなと思うことはすこし寂しい。



 以前に、今度誕生日が来ると坂口安吾の亡くなった歳と同じになるというようなことを書いたが、確認してみたらもう数年前に過ぎていたことを知り、拍子抜けする。どうやら満と数えを混同していたかして覚えていたらしい。


 本屋により、誕生日プレゼントとしてちくま文庫新刊詰め合わせでも自分へ贈ろうかと思ったのだが、まだ3月の新刊は並んでいなかった。結局本は何も買えず、文房具屋によって4月からの仕事に使うノートを2冊買って帰った。




 今日は、気が重く、疲れる会議が開かれる日。まあ、僕自身が今日の開催を決めたのだが。3年前の日記を読むと震災の当日も同じ会議を済ませている。会議を終えて自分の席でぼんやりしていたときにあの大きな揺れが襲ってきたのだ。


 今日の会議もがっかりするくらいにストレスを感じさせるものだった。自分を見ていれば“大人”なんてものが“「大人」の皮をかぶったガキンチョ”であることは充分に知っていたはずであるが、周囲を取り巻く、オモチャをめぐる子供の喧嘩のような有様は、3年前の会議よりもひどくなっている気がする。その余波を責任者として浴びている自分の存在や仕事が年々無意味さを増して行くのをただ黙って見ているだけ。それでいいのかと思いながらもでるのはため息ばかり。ふ〜う。



 今日も本屋へ行き、ストレス解消にあれこれ買おうと思ったが、結局なにも買えず。2日続けてボウズとは珍しい。今日もちくま文庫の新刊は見当たらず。欲しいと思っている森岡督行「荒野の古本屋」(晶文社)も棚に姿はなし。退散する。



荒野の古本屋 (就職しないで生きるには21)

荒野の古本屋 (就職しないで生きるには21)



 レコード屋(と言ってもCD屋なのだが、最近山下達郎のLPが2枚レコードプレーヤーと並べて売っているのでこう呼んでも違和感は以前よりない)で、本屋で買えなかった憂さをはらすように今日発売の廉価版JAZZCDを5枚ガシッと鷲摑み。

  • CHARLIE ROUSE「YEAH!」(epic)
  • PAUL DESMOND「TWO OF A MIND」(RCA)
  • BILIE HOLIDAY「LADY DAY」(COLUMBIA)
  • ART BLAKEY'S JAZZ MESSENGERS「A NIGHT IN TUNISIA」(RCA)
  • THE DAVE BRUBECK QUARTET「ANYTHING GOES!」(COLUMBIA)


ヤー!

ヤー!

  • アーティスト: チャーリー・ラウズ,ビリー・ガードナー,ペック・モリソン,デイヴ・ベイリー
  • 出版社/メーカー: SMJ
  • 発売日: 2014/03/12
  • メディア: CD
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デズモンド・ミーツ・マリガン +5

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レディ・デイ

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エニシング・ゴーズ

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 買ってきたCDを気ままに聴く。ビリー・ホリデイの歌声はいいな。「月に願いを」、「月光のいたずら」と月にまつわるスタンダードナンバーが続く。


 「月」か、やはり今日はこの曲も聴いておきたい。今年で3回目の満月だ。これからも数えて行こうと思う。