赤ペンとカルペンティエル。


 4月はそっと訪れて、怒濤のように過ぎて行こうとしている。


 先週の日曜は仕事で静岡に出張。今日は職場が提携している大学へ出向の仕事で行く。


 自分の専門分野を専攻している大学生たちにレクチャーをするのが僕の役割だ。事前に提出されたレポートを十数名分添削したものを持ってこなければならない約束になっていた。自分の職場の仕事に忙殺されていたため、送られてきていたレポートの束はずうっとレターパックの箱の中で眠ったまま。昨晩やっと箱から出して帰宅後11時までかかって赤を入れる。


 大学に到着すると係員が待っていて持参したレポートのチェック。ちゃんと添削しているか確認され1部につき300円ほどの手間賃が払われる。


 10時から午前2時間、昼食をはさんで午後3時間の授業をする。


 大学を出て歩いて神保町に向かう。久しぶりの本の街だ。


 岩波ブックセンターへ。


馬琴綺伝

馬琴綺伝



 地元で買えないものを買う。小谷野本は馬琴の伝記ではなく、馬琴を主人公にした長編時代小説。『BOOK5』は学習参考書特集号。この小冊子は特集の目の付け所がいいといつも思う。


 東京堂をのぞいてから三省堂へ。


谷根千ちいさなお店散歩

谷根千ちいさなお店散歩



 岩波と東京堂で見つけられずに三省堂でやっと出会えた。ナンダロウさんの新著。



 伯刺西爾でブレンドとチーズケーキ。買ってきた本をあれこれと覗き見する。コーヒーの苦さとケーキの甘さが疲労でボンヤリした頭を少し起こしてくれる。



 帰宅してテレビをつけると「モヤさま」が谷根千を歩いている。買ってきた本とのシンクロを楽しむ。


 岩波ブックセンターで貰ってきた小出楢重の自画像が表紙を飾る『図書』を眺める。5月の新刊案内にカルペンティエル「失われた足跡」(岩波文庫)が。僕にとって集英社文庫であったラテンアメリカ文学がいつの間にか岩波文庫になっていく。そういえば、ガブリエル・ガルシア=マルケスが他界した。「百年の孤独」は新潮文庫になる前に岩波文庫になるということがあるのだろうか。他の作家と違いマルケスは新潮の作家、白いカバーの作家のイメージが強い。文庫で読むなら新潮文庫で読みたいと思うが、新潮社は文庫化の足跡を見失ってしまっているように見える。