二賞文化閲覧。


 雪の週末を越えて今日から平常勤務。


 朝からバタバタと忙しい。結局朝から晩まで屋内と野外を出たり入ったりしているうちに退勤となる。



 本屋へ。

三省堂国語辞典のひみつ

三省堂国語辞典のひみつ



 ともに棚で見るまで出ている事を知らなかった本。これだから本屋通いはやめられない。


 前者は先頃第7版が出たばかりの「三省堂国語辞典」の編纂者のひとりである飯間さんが辞書のPRを兼ねて「三国」について書いた本。「辞書を編む」(光文社新書)、「辞書に載る言葉はどこから探してくるのか?」(ディスカバー・トゥエンティワン)に続く「三国」本。最近立て続けに辞書本を出している飯間さんには漢和辞書系の本を精力的に書いている円満字二郎さんと同じように国語辞書系のいろいろな本を書いてもらいたい。


 後者は『文藝春秋』本誌でも特集していた芥川賞直木賞150回記念をうけて出版したムック本。自社の看板でもある両賞の記念ムックだけあってA4サイズのずっしりとした作りで写真も豊富に入っているのに1800円+税というお手頃価格である。第1回から最新の150回までの両賞受賞者の顔写真と簡単なプロフィール、そして他の候補者と候補作に選考委員名が掲載されている。この本で初めて顔写真を見たという作家が相当数いた。資料的な価値も充分だろう。顔写真をパラパラと見る。23歳の石原慎太郎のネクタイのセンスの良さ、竹中直人にしか見えない遠藤周作(実際に竹中直人がモノマネのネタにしていたが)、松本清張小椋佳によく似ているな。そして綿矢りさの愛らしい写真も掲載されている。写真を見ているだけでも楽しめる1冊だ。



 帰宅するとドアの取っ手にビニール袋がかけてあり、中にはトマソン社からのゆうメールが入っていた。


 さっそく中身を取り出す。先日神保町で入手できなかったミニコミ誌『ほんまに』15号とこれも以前から欲しかった『ぽかん別冊 昨日の眺め』が出て来た。この2冊をミニコミ通販でおなじみのトマソン社にネット注文したのだ。手に入ってうれしい。


 『ほんまに』は海文堂書店閉店の特集号。海文堂のイベントの打ち上げでご一緒した林哲夫さん、中島俊郎さん、鈴木創士さんの名前がある。「本屋図鑑」を作った夏葉社の島田さんと空犬さん、佐藤純子ちゃんとグレゴリ青山さんもマンガを寄稿している。豪華でうれしく、豪華でさびしい。

 
 『昨日の眺め』は恵文社一乗寺店の冬の古本市にあわせて作られた『ぽかん』別冊。前半は12人の散文が載っていて、後半は古本市出店の4つの店の目録になっているという構成。散文には恵文社堀部篤史さん、ちょうちょぼっこの郷田さんと真治さん、『スムース』同人の扉野さんたちの文章がおさめられている。ブログを愛読している福田和美さんの散文が読めるのもうれしい。こちらもA4の大きめサイズであるが、文藝春秋のものとは違う軽やかな仕上がり。デザインもいい。色使いもみごと。



 そういえば、今日は坂口安吾の命日だ。安吾松本清張が「或る『小倉日記』伝」で芥川賞をとった時の選考委員のひとりだった。来月になるとその安吾が死んだ年に自分がなる事に思い至り、なんだがぼんやりとしてしまう。