冬のロンバケ。

 明けましておめでとうございます。


 今年もよろしくお願いします。



 友人から来た年賀状にこの日記の復活を楽しみにしていると書かれていたので、今年はマメに更新しようと思う。ここ数年、同じことを言っているような気もするが。



 新年は実家で迎えた。大晦日は例年のごとく紅白歌合戦を母親や弟一家と見る。まあ、全体としてはいつも通りの紅白なのだが、今年は何と言っても「あまちゃん」コーナーがあったので例年になくワクワクして見た。アキがGMT5として舞台に立つ、ユイちゃんが東京に出て潮騒のメモリーズとして「潮騒のメモリー」を歌う、春子が影武者(落ち武者?)としてではなく自分自身としてマイクを握り、鈴鹿ひろ美自身の歌声が歌番組で全国に流れる。本放送では実現しなかったことが次々と紅白という舞台で実現して行く快感。これは「あまちゃん」好きにはたまらない15分だった。ただ、これでもう続編は作らないよというメッセージでもあると考えるとちょっとさみしい。






 正月二日の夜にこちらへ戻った。これも例年のことだが、実家に帰省すると体調を崩す。こちらのペースにおかまいなくあれこれ食べ物が出てくる無限ループに飲み込まれ、なるべくそれを断っているつもりなのだが、ただTVを見ながらゴロゴロしている身にそれらの攻撃が深刻なダメージを与えてくるのだ。結局、胃腸炎の症状が出て、翌三日は箱根駅伝を見ながら家で寝ていた。箱根駅伝の後はWOWOWオンデマンドで「恋人たちの予感」を久しぶりに見る。「ノッティンヒルの恋人」とともに大好きなラブコメ映画。この映画のメグ・ライアンは僕の知る彼女の中で一番輝いているように見える。内容はお伽噺なのだが、ラブコメに人生の厳しさなど求めていないのだからそれでいいのだ。見終わって幸せな気分になる。それだけでもいい映画と言えるだろう。



 四日は初出勤。半ドンで退勤して本屋へ。


東京プカプカ

東京プカプカ

桶川ストーカー殺人事件―遺言 (新潮文庫)

桶川ストーカー殺人事件―遺言 (新潮文庫)


 今年の初買いはこの2冊。『サンデー毎日』の連載を集めた中野本は毎年暮れに買って正月休みに読むのを通例としているのだが地元の本屋では見つけられず、この日初めて棚に面陳されているのを発見したのだ。文庫は昨年暮れに同じ筆者の「殺人犯はそこにいる」(新潮社)を読んで衝撃を受けたためその前作にあたるこの本を手に入れた。



 帰宅してテレビをつけるとWOWOWで「カサブランカ」をやっていたので思わず見てしまう。言わずと知れた作品でもう何度目かの観賞になる。先日見た「恋人たちの予感」でメグ・ライアンビリー・クリスタルの二人が電話をしながらそれぞれの部屋のTVで「カサブランカ」を見ているというシーンがあったのも見ようと思った理由のひとつ。ただ、何度見てもボギーはあまり格好良く見えないな。「アズ・タイム・ゴーズ・バイ」はいつ聴いてもいい曲だと思う。ラストのボギーと警察署長の「これからが友情の始まりだな」という台詞を聞いて、男女の友情は可能かを縦軸にした「恋人たちの予感」になぜこの映画が引用されているのかの意味が分かった。



 その後は、買ってきた「東京プカプカ」を読む。一昨年の11月から昨年の11月までの一年間のコラム。前半は訃報の話が多い。桜井センリ中村勘三郎小沢昭一市川團十郎三國連太郎山口昌男といった名前が次々と鬼籍に入って行く。昨年の4月以降は中野さんもやはり「あまちゃん」にハマっている。あまちゃん話には「おお同士よ」という思いで読み進める。数時間で去年の振り返りをした気分。




 今日は休み。朝風呂のBGMは大瀧詠一「A LONG VACATION」を選ぶ。年末の訃報には驚いた。もう新しいアルバムが出ることはないだろうと思っていたが、ラジオの「アメリカンポップス伝」などの氏ならではの仕事を今後も聴けると思っていた。また、雑誌『東京人』での川本三郎氏との対談などで発揮していた成瀬巳喜男映画に対する考察のようなものをもっと広げてもらい、1冊の本という形でまとめられることを願っていたのだが、それも叶わぬ夢になってしまった。ただ、これまでラジオを通じて行ってきた「日本ポップス伝」や「アメリカンポップス伝」をまとめてCDボックスにでもしてもらえないだろうかと思う。使われている音源の著作権の問題もあって難しいだろうが何とかならないもんだろうか。


 そんなことを思いながら大学時代から耳に親しんだ曲を聴く。冒頭の「君は天然色」のイントロを聴いただけで心が浮き立つ。言葉を点ではなくメロディに乗る線として歌う独特の歌い方も身に馴染んでいる。「カナリアン・アイランド」を「カーナリアンラーイレーン」と一緒に歌ってみる。楽しい。「恋するカレン」は学生時代によくカラオケで歌った。持てない男子学生としては「恋するカレン」に感情移入して熱唱するしか憂さのはらしようがなかったんだろうな。はた迷惑な話だ。


A LONG VACATION 30th Edition

A LONG VACATION 30th Edition


 胃腸炎と昨年暮れに煩った気管支炎が癒えていないので外出を控え、コタツに入って本を読む。


冬のフロスト 上 (創元推理文庫)

冬のフロスト 上 (創元推理文庫)


 去年の夏前に出た本を読もう読もうと思いながらそのままにしてあった。冬の話だから冬に読むために取っておいたのだと自分に言い訳して読み始めた。いつものようにデントン市警察は連日起こる様々な事件でひっちゃかめっちゃか。フロスト警部は相変わらずワーカーホリック状態で、マレット署長は相変わらず嫌なヤツっぷりを発揮している。姿変われど中身変わらずなのだが、それでもいつも面白い。その意味でジェーン・オースティンの作品と共通するものがある気がする。ただ、厚い文庫の上下2冊はそう簡単には読み終わらない。もう、冬の休みは終わろうとしているのに。明日から本格的な仕事始めの週が始まるのだ。