天才は湯気とともに消える。

 今日は休み。


 いつものようにグズグズとした午前中を過ごす。朝風呂のBGMは「コイズミ シャンソニエ」(ビクター)。


Koizumi Chansonnier(初回盤)

Koizumi Chansonnier(初回盤)


 キョンキョンに特別な思い入れはないのだが、小西康陽菊地成孔二階堂和美高田渡早川義夫といった錚々たる顔ぶれが楽曲を提供しているのを知ってしまうとやっぱり聴きたくなりますよね。考えてみれば彼女ってほぼ同世代なんだよな。頑張ってるよなと思いながら湯船でぼんやり。



 昼過ぎに家を出て職場に向かう。昨日やり残した仕事があるのだ。その前に寄り道。電車で2駅ほど先の町まで行く。


 この町に今年できたコーヒー焙煎の店に豆を買いにきたのだ。もともとこの店は白楽にあり、その初めての支店がここ。この店の豆がおいしいと木村衣有子さんがツイートしていたのを読んで知り、白楽に何度か買いに行っていたのだが、もっと近くに支店ができたので今日はここに来たというわけ。


 白楽と言えば、この前の「孤独のグルメ」は白楽のキッチン友がその舞台になっていた。これまで何度も書いたように僕は7年ほどこの町に住んでいたのだが、六角橋商店街のアーケードの端にあるこの店に入ったことは残念ながらない。僕が行っていた洋食屋はアーケードの外の通りにあった二階建ての店(名前を忘れた)と通りの反対側の奥にあった店(たしか白鳥という名前だった)の2軒だった。ともに今は無くなってしまっている。今度白楽に行ったらキッチン友でスペシャルを食べてみたいものだ。それにしてもテレビ東京は最近白楽づいているなあ。しばらく前に「アド街ック天国」で白楽を取り上げ、最近の「モヤさま」横浜編でも食事場所は白楽の寿司屋だったし。古本関係のイベントもあるようだし、白楽にもう一度住んでもいいかなという気分になる。ただ、大きめの新刊書店がないのがちょっと困るかな。



 職場用にシーズンブレンドを挽いてもらい、自宅用には東ティモールとドミニカを豆で買ってから職場へ。


 仕事を始める前に、買って来たブレンドを淹れる。お湯を注ぐと豆がほっこりと盛り上がってくる。これは新鮮な証拠。挽きたてで淹れたてのコーヒーはとてもうまい。豆がいいせいなのだが、「オレはコーヒーを淹れる天才なのではないか」と一瞬思ってしまうくらいおいしい。それだけでも幸せな日曜日になった。


 雨が降るまでには帰ろうと思っていたのだが、思いのほか雨が早く、職場を出た時はもう降り始めていた。



 帰宅してテレビをつけるとBS日テレでV9時代の読売ジャイアンツの映画をやっている。川上、長嶋、王、藤田、国松、広岡、柴田といった子どもの頃から馴染んだ選手たちが自分自身の役を演じている。それにフランキー堺伴淳三郎三木のり平といった役者が脇について映画にしているという感じ。硬い王、川上に対して長嶋や藤田は結構自然な感じで演じていた。プロ野球と巨人が茶の間の花形だった時代を記録した映画だとも言えるな。


 自宅でもコーヒーを飲む。東ティモールをミルで挽き、月兎印のポットでお湯を注ぐ。これも悪くないのだが、職場で飲んだ時のような感動がない。自分が天才でないことを実感する。