モヤモヤから青空へ。


 出張で午前中に海岸沿いの私鉄の駅に降り立つ。


 駅周辺を歩いていたらまさかこんなところでという光景を目にしてしまう。朝からモヤモヤとした気分になる。


 しかし、仕事現場は天気もいいし、海もかがやいているしで久しぶりにほんわかと仕事を終えることができた。


 私鉄の駅に戻ると駅前に小さな街の本屋があった。正面の平台に雑誌が並び、その中に『暮しの手帖』がごく普通に並んでいるのがいい。レジにはおばあちゃん。通勤のサラリーマンが客層の主流らしく時代小説の文庫が充実していた。生き残るための努力の跡が棚に見える。こういう本屋で本を買いたい。


吾輩は猫である (新潮文庫)

吾輩は猫である (新潮文庫)

バクマン。 15 (ジャンプコミックス)

バクマン。 15 (ジャンプコミックス)


吾輩は猫である」の新潮文庫は家を探せば必ずどこかにあるはずなのだが山村修「増補 遅読のすすめ」(ちくま文庫)を読んだらやはり寒月君のバイオリンがどうなったかの続きが読みたくなって買ってしまう。


 おばあちゃんが1枚の紙の状態から折ってカバーをかけてくれるのがうれしい。今週末もここに仕事に来るのでまた寄ろう。


 そのまま私鉄を東京まで乗る。携帯本の伊藤隆行「伊藤Pのモヤモヤ仕事術」(集英社新書)を車内で読了。思っていたよりも面白かった。万年視聴率最下位のテレビ東京で仕事をする大変さを楽しむ伊藤Pの姿を見ているとテレ東のファンになってしまう。内容的には会社でどのように企画を通し自分のやりたいことをやっていくかを語ったビジネス書といっていいと思うが、「モヤモヤさまぁ〜ず2」のファンとしてはその裏話が聞けるだけでも充分面白い。例えばなぜ「1」のない「モヤさま」に「2」が付いているのかとか。「モヤさま」ファンは一読の価値ありだ。


伊藤Pのモヤモヤ仕事術 (集英社新書)

伊藤Pのモヤモヤ仕事術 (集英社新書)



 その後地下鉄に乗り換えて早稲田へ。もちろん穴八幡で行われている早稲田青空古本祭に来たのだ。その名の通りの青空の下で目に鮮やかな朱色の門をくぐって古本の並ぶ境内に入るのはなんとも気持ちがいい。


 棚を見ているとあっという間に1時間くらい経ってしまう。腕には5冊。


 重い鞄と満足を抱えて帰る。行きの電車で買った「バクマン」は読んでしまったので先日手に入れた古今亭志ん朝文化放送に残した音源「文化放送アーカイブス 志ん朝十三夜」をiPodで聴く。「搗屋幸兵衛」から「品川心中」と聴きながら寝てしまい、終点の最寄り駅で駅員に起こされた。