アウトサイダーと三ツ矢サイダー。


 今日は朝から都内へ出張。普段乗らない満員電車に揺られて行く。ドア横の鉄柱に寄りかかりながら肘を身体に付けるように曲げてなんとか文庫本を読む。これを毎日やっているのかと思うと同じ車両にいる人びとが皆偉く見える。そんなくらいだから、もう普通の勤め人はできない心と身体になってしまったようだ。


 出張場所の会議室に籠って昼過ぎまで仕事をする。今日は職場が臨時休業となったためこれで仕事は終わりになるはずなのだが、同僚からの電話があり、やはり職場へ戻ることになった。別に戻る時間は決まっていないので、神保町に寄り道してから帰ることにする。


 まずは先日休みで食べることができなかった丸香へ。今日は無事うどんにありつけた。肉うどんと下足天。


 明日発売と聞いている「昔日の客」(夏葉社)が神保町なら1日早く並んでいはしないかと東京堂書店三省堂書店をのぞいてみるが、ネットでみた緑の布ばりに白い帯のかかったあの瀟洒な姿はどこにも見つけることができなかった。やはり、明日でなければ無理だったのか。ツイッターの情報によれば三省堂は明日並ぶらしい。池袋の古書往来座には今日入荷したことも知ったが、職場へ戻らなければならず今日はあきらめる。


 その代わり、これは1日早く売っているらしい(東京堂には置いていなかった)村上春樹インタビュー集を三省堂店頭で買って帰る。

夢を見るために毎朝僕は目覚めるのです

夢を見るために毎朝僕は目覚めるのです

 午後、まだ帰宅ラッシュ前の都心から横浜へ向かう電車はのんびり座って行ける。先ほど買った厚い春樹本も気兼ねなく広げて読める。目次を眺めると外国のメディアに対して行ったインタビューが多い。日本の雑誌に載ったものしか読んでいないので、初読のものがほとんど。最初はSalon.comという媒体に載った「アウトサイダー」という1997年のインタビュー。「ねじまき鳥クロニクル」から「アンダーグラウンド」にかけての話。他の多くの日本人のように組織に属すことや、また他の日本の小説家のように“ソサエティー”(文壇てことでしょうか)を作ることが性格的にできないと語る村上氏を“アウトサイダー”と位置づけている。


 職場へ行き、あれこれと残務整理。退勤して古本屋と新刊書店に寄る。

 古本屋では井伏鱒二「川釣り」(岩波新書)を200円で。新刊書店では『SPA!』10月5号を買う。


 帰宅して『SPA!』を開く。この号に久住昌之谷口ジロー孤独のグルメ」最新作が載っているのだ。今回は“東京都品川区東大井の冷やし中華とラーメン”。毎度おなじみ井之頭五郎がごく普通の中華料理屋に入って冷やし中華を食べる。隣のおじさんがビールをうまそうに飲んでいるのを見た五郎は三ツ矢サイダーを頼み、これもうまそうに飲む。これらだけでは我慢できずにラーメンを追加し、これも完食。そして最後にコップの水を飲み干して「ラーメンの後の口直しの水ってラーメンの一部というくらいうまい」とつぶやく。蓋し名言。

 今回も単発の掲載らしいが、今後も不定期でいいから続編を発表してほしい作品だ。