走る読書室。 


 新年の仕事始め。ただし、今日は顔見世程度。


 あまり暖房の効かない部屋にいたのでどこか暖かい場所で本を読みたいと思い電車に乗る。最寄駅から出る始発電車に乗れば暖房の効いた車内で座って読書ができるし、そのまま乗り換えなしで神保町へ行けるのだ。


 読みかけのオースティン「説得」を読みながら神保町到着。もちろん3日なのでまだ古書店街は眠ったままだが、東京堂三省堂といった大型書店は開いている。

 まずは、東京堂の3階で今日の目的であるこれを手に取る。


 待望の品を手に入れて満足しているところに面出しされていたこれに目がいく。

  • 藤沢桓夫「対話講座 なにわ塾叢書11 回想の大阪文学」(ブレーンセンター)


 杉山平一氏と藤沢氏の対話による大阪文学回顧。「大阪古本屋史」、「堀辰雄に鼻血を出させた神崎清」、「織田作之助流馬券の買い方、女のくどき方」、「大阪文化に花を咲かせた『女性』『苦楽』」など面白そうな小見出しが続く。


 三省堂の4階も覗く。毎年買っているこれが出ていた。

このマンガを読め!〈2009〉

このマンガを読め!〈2009〉


 以前からフリースタイルという小出版社を応援している(とりあえず新刊を買う)のだが、最近雑誌『フリースタイル』も出ていないようだし、以前から近刊リストに載っている都筑道夫さんの「ポケミス全解説」もなかなか出ないので、やはり経営的に大変なのだろうなとちょっと心配になる。頑張ってほしいものだ。


 三省堂の2階のレジ前に『ちくま』1月号があったのでもらってくる。今年から表紙の絵が林哲夫さんになったのだ。本という額縁の中に入ったアルチュール・ランボーの顔にしばし見とれてしまう。


 夕闇迫り燈火乏しき神保町にあって伯剌西爾の入口に光を見つけよろこんで入る。

 「山からお宝」や『ちくま』をペラペラ。前者の裏表紙にある退屈男さんの自宅写真には大きく「人生をいかに生きるか」という書名が見える。その本の背後にある本の山がその問いの答えを探る道標のような気がしてしまう。


 古書店はほとんど開いていないのでそそくさと走る読書室に乗って帰る。帰りも「説得」を読み継ぐ。


 帰宅して今日到着分の年賀状の返事を書き、昨晩録画しておいた「今日はまるごと談志の日 ふたたび」(NHK総合)から「やかん」を視聴する。この他「へっつい幽霊」や「芝浜」が収録されているとのことなので観るのが楽しみ。元々の10時間番組を半分に編集したものと言っても5時間の長尺なので刻んで見ていくつもり。


 読書に戻り、「説得」読了。ドラマティックになりそうな部分は最終章の説明的語りで済ませてしまう。当今の恋愛小説ならここを書き込むところなのだろうが、ジェインは淡白なまでにヒロインの恋愛だけを描ききって満足している。ここに物足りなさを感じる人もいるかもしれないが僕はこれで充分。


 「このマンガを読め!2009」に目を通す。アンケート上位のマンガ10作品の1話分を掲載してくれている(一部例外あり)ので、最近のマンガをフォローしていない僕にとっては手ごろなガイドブックだ。