いつ以来だろう傘を持って家を出た。
雨は時間を追うごとに強くなり、午後に職場を出て出張する時には道路は水たまりと化し、横殴りの風は傘を持つ人間の浅知恵を嗤うかのようにズボンの裾の色を短時間で変えてしまう。
電車を乗り継ぎ出張場所に行き会議に参加。会議室の窓には向こうの建物が霞んで見えるほどの雨のカーテンが揺れている。「みなさんの帰りの足がこの雨でなくなってしまっては困るので、要点だけを手短に」と司会進行役が言いつつ、結局いつもとほぼ同じ時間をかけて会議は終わる。
帰りは混んだ横浜駅での乗り換えを嫌い、地下鉄を乗り継いで小一時間かけて地元まで。携帯本の堀井憲一郎「江戸の気分」(講談社現代新書)を読みながら帰って来た。
駅ビルの本屋により、あちこちで評判のいいこの本を。
- 高平哲郎「今夜は最高な日々」(新潮社)
- 作者: 高平哲郎
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2010/08
- メディア: 単行本
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目次を眺めただけでも第1部は各章題が落語の噺、第2部は映画の題名、第3部はシェイクスピアの戯曲、第4部は歌謡曲となっており、その凝り方が伝わってくる。いきなりジャズと落語の話から始まっているのも僕にとってはうれしいし、パラパラと眺めただけでその内容の濃さのボリュームが分かる。面白そうな本だ。
駅ビルを出ると雨は上がり、夕焼けとは違う赤紫の空が広がっていた。バス亭で待っていると吹く風が急に涼しくなり、ようやく今頃になって9月が己の役割を思い出したかのような感じ。
BSで「徳光和夫のトクセン」の春風亭昇太特集を観ていたら、堀井憲一郎さんが出てきた。そうだそうだと鞄の中から「江戸の気分」を取り出し、残りを一気に読む。この人の落語本はやっぱり間違いないと再確認し、本を置く。