ストレスレスとストレススレスレ。


 日曜日が来た。もちろん日曜日は週に一度万人に対して平等にやってくるが、フツーに休める日曜は民草に等しくもたらされる訳ではない。その休日がそっと訪れたのだ。


 9時頃のそのそと起き出し、洗濯。白いTシャツを10枚ほどと白いポロシャツを1枚ベランダの干し紐にずらっと並べる。日差しはまぶしいが、風はどこかひんやりしていて心地よい。


 BGMに立川志の輔「新・八五郎出世」を流しながらシャワー。シャワーが似合う季節になったな。

 スーツ数着を手に持ち、大量のワイシャツをナイロンバッグに詰めてクリーニング屋に行き、荷が軽くなったところで職場へ向かう。バスの中ではポッドキャストで「ラジオデイズ」の柳家三三インタビューを聴く。高座もそうなのだが、この人は若手という言葉がそぐわない落ち着きがある。この老成した感じが善くも悪くもこの人らしさなのだろう。


 日曜午後の人の少ない職場に行って自分のペースで仕事をする。経費削減でこの春から新聞が置かれなくなったため毎日新聞の読書欄を机に広げながら昼食をとるという楽しみはなくなったが、新聞掲載と同日にネットで読書欄を読めるようにしてくれている毎日新聞社に感謝しつつ、机のパソコンで書評を読みながらおにぎりを食べる。


 開けられた窓からは爽やかな風とサッカーに興じる若者たちの声が聞こえてくる。そんなのんびりとした雰囲気の中でマイペースに仕事はすすむ。このストレスレスな時間が好きでわざわざ休日に職場へ来てしまうのだ。明日からの仕事を考えると途端に胃の下あたりからモヤモヤしたものがこみ上げそうになるため明日のことは考えないことにしてストレススレスレでやり過ごす。


 夕方仕事場を出る。駅ビルに入り、スーツの2プライスショップでスラックスを買う(「スラックス」なんてオヤジくさい「パンツ」と言えと言われそうだが店の札に“スラックス2本目から20%off”と書いてあったのだから堂々と使わせてもらう)。若い店員のお兄ちゃんの物言いがどこか癇に障る部分があり、こちらの受け答えもつっけんどんになってしまうのはやはりオヤジである証拠か。結局タック付きのスラックスを選び、ダブルの裾直しを頼んで店を出る。


 サブカル系古本屋に寄ると新しいバイトに店長が買い取りのレクチャーをしていた。バイト君はあまり本には詳しくないらしい。棚を見ながら聞こえてくる店長の声が気になってしまう。

「ペヨルト工房って知ってる? 知らないか。もう無くなった出版社だったんだけどここの本は高く売れる。みすず書房は分かる? あの棚にある白い本。これもいい本が多いんだ。あと国書刊行会の本もいい。ここら辺の本は文庫にならないから値段も高くなる。晶文社は犀のマークのやつね。ここもいいんだけどたまに新潮社に版権を売って文庫で出たりするから要注意。あと白水社未来社なんかもいい本がある。それから大学の出版社はあんまりいいものはないんだけど法政大学出版は別。東大出版もいい。慶応大学や早稲田大学のものは買わなくていいよ……」


 話は続いているが、いつまでも立ち聞きしているような感じになるのも嫌なので100円棚からこれを買って店を出る。


 ちくま文庫から復刊されたが、この「続 明暗」や「私小説」などは新潮文庫のイメージが強く残っている。


 TSUTAYAで「モヤモヤさまぁ〜ず2」のVOL.1と6を借りる。この前1が貸し出し中で借りられなかったのだ。これまで2、3、4、7を観た。ハマってますね、もう。


 帰宅するとちょうど「モヤモヤさまぁ〜ず2」の時間。リアルタイムの放送を楽しみ、その後「龍馬伝」を観てから、借りてきた「モヤモヤさまぁ〜ず2」のVOL.1を視聴。楽しい。しばらく「モヤさま」の日々が続きそう。

モヤモヤさまぁ~ず2 VOL.1 伝説のお正月SP”北特集編” [DVD]

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 母の日なのでたまには親孝行と思い最近買った母親の携帯に電話。「元気?」『元気だよ」「こちらも元気だよ」「そう」で終わる。お互い元気ならそれでいい。


 6月の文庫新刊案内をネットでチェックするとこれが。


 伊丹万作という存在は三省堂の教科書に載っていた「机の面積について」というエッセイを読んでこんなすごい人がいたのだと驚き、その後友人に勧められて読んだ伊丹十三のエッセイにハマりながらその父親として伊丹万作を再発見し、「伊丹万作全集」と筑摩叢書「伊丹万作エッセイ集」(文庫の親本)の購入へと進み、伊丹万作監督映画のビデオを探して残っている全作品を観るというところまで行った。


 すばらしい映画監督であり、脚本家であり、文筆家であった伊丹万作の文章にまだ触れていない人は、ぜひこの文庫を手に取ってもらいたいものだ。


 あと、伊丹万作監督作品をどこかDVDで出してください。