みんな買ってるかい。

 なにやら余裕のない日々が続いている。


 先週は気分的に追いつめられたような感じで仕事から帰宅しても本を読んだり、日記を書いたりする余裕もなくただ逃げ込むように借りてきた「モヤモヤさまぁ〜ず2」のDVDを毎晩のように観続けることで日々を過ごしていた。


 「モヤさま」DVDをすべて観尽くしてしまった週末から今週にかけては読めもしないのに本を買って日々をおくった。

森繁さんの長い影

森繁さんの長い影

十代目金原亭馬生 噺と酒と江戸の粋

十代目金原亭馬生 噺と酒と江戸の粋

カフカ自撰小品集 《大人の本棚》

カフカ自撰小品集 《大人の本棚》

 「影とささやき」は月曜の出張時に駆け足で寄った東京堂ふくろう店で。畠中理恵子さんが届いたばかりという『海鳴り』22号をくれた。山田稔氏によるコーマルタンの思い出、実弟庄野至氏による庄野潤三追悼文、息子である川崎与志氏が見た父川崎彰彦という読み応えのある1冊だ。その他『spin07』もふくろう店で買った。“ブックイベントのたのしみ”という特集で、巻頭の南陀楼綾繁さんとカロブックショップ&カフェの石川さんとちょうちょぼっこのお三方による座談会が興味深い。林哲夫さんは「巴里探墓日録」というパリの墓巡りを。昔モンマルトルの墓地でドガの墓を探しさまよったことを思い出した。欲張りだとは思うが北村さんの「エエジャナイカ」をまたこの『spin』で読んでみたいものだと思う。広島カープの前田選手のような復活はないのだろうか。


 小春日和のような火曜日に《みすず大人の本棚》の最新刊吉田仙太郎訳の「カフカ自撰小品集」を地元の本屋で見つける。もちろん買う。このシリーズの存続を願うから買う。読みたいラインナップだから買う。みんな買っているかい。


 今日は一天にわかにかき曇りどんよりとした水曜日。上司たちの思いつきに右左に振り回されたこの一週間の疲れがどっとでるようだ。

 帰宅して、先週からちびちび読んでいる野呂邦暢「夕暮の緑の光」(みすず書房)を少し読む。買った時にまずひろい読みした「S書房主人」がまた出てきたのでまた読む。2度読んでもいい。そこでS書房こと山王書房の店主であった関口良雄さんの「昔日の客」(三茶書房)を持ち出して表題作である「昔日の客」を読む。こちらも2度目だがやはりいい。古本屋の客である作家・野呂邦暢と古本屋の店主である関口良雄さんがそれぞれ相手に対する思い出を文章にしている。まるで相聞歌のようだ。

夕暮の緑の光 (大人の本棚)

夕暮の緑の光 (大人の本棚)

 大学時代から30代半ばまで毎月のように買っていた雑誌『スイング・ジャーナル』が今年7月号で休刊だと知る。そしてジャズピアニストのハンク・ジョーンズの訃報も。


 ハンクがピアノを弾いているアルバムはたくさん持っているけれどもピアノトリオはこれ1枚。だからこれを聴く。

アット・ザ・ヴィレッジ・ヴァンガード

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  • アーティスト: ザ・グレイト・ジャズ・トリオ
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 ご多分に洩れずジャズを聞き始めたころに買った数枚のアルバムの中にキャノンボール・アダレイ「サムシン・エルス」(ブルーノート)があった。冒頭「枯葉」で印象的なイントロをピアノで弾いていたのがハンク・ジョーンズだった。しかし、舞台中央に立つことなくすぐにマイルス・デイビスのトランペットに主役の座を明け渡す。その控えめで堅実で柔軟なあり方が好きだった。ジョン・F・ケネディの誕生日にマリリン・モンローが歌った「ハッピー・バースデー・トゥ・ユー」の伴奏が彼であったことを初めて知った。