白い花から赤い花。

 休日出張のない日曜日。9時半まで寝ている。


 洗濯をし、洗濯物をクリーニング屋へ出してから職場へ。休日に仕事をしに行くなんて仕事の虫などと呼ばないでいただきたい、そうしないと明日からがつらいのです。


 コンビニで買って来たおにぎりで昼食をとり、毎日新聞の読書欄をチェックしてから仕事。いろいろやるうちに必要な文房具があれこれと頭に浮かぶ。以前なら職場備え付け以外のものでも買うことができたのだが、今やそんな予算はもらえない。欲しいものは自分で買うのだ。


 夜7時近くまで働いて退勤し、閉店間際の文房具店に滑り込む。この店は木の床を持ち奥行が広く天井も高い。あれこれと文具を買う。もちろん、100円ショップに行けば物はよくなくても使える文具が安く手に入るのだが、この気持ちが豊かになる文房具屋がいつまでもこの地にあってほしいと願うため、極力ここで買うようにしているのだ。この店には美しい曲線をもった木の階段があり、紙ものなどが置かれている2階に続いている。ここの一部が古本屋だったらなあといつも思う。そうすれば、恵文社一乗寺店のような雰囲気の店になるだろうのに。


 買い忘れたものがあるため、ダイソーにも寄る。なるほど、先ほど買ったものが半分ほどの値段で並んでいるよ。商品を籠に入れながらあの店の将来を思う。


 本屋へ。

人間失格ではない太宰治―爆笑問題太田光の11オシ (SHINCHO MOOK)

人間失格ではない太宰治―爆笑問題太田光の11オシ (SHINCHO MOOK)

 『人間失格ではない…』には太宰治の作品だけではなく太宰・安吾・織田作の座談会「歓楽極りて哀情多し」や安吾「不良少年とキリスト」が採録されていてアンゴリアンである僕としては見過ごしにできなかった。

 「女が読む太宰治」は、佐藤江梨子山崎ナオコーラ西加奈子雨宮処凛津村記久子辛酸なめ子香山リカ平安寿子井上荒野中沢けい太田治子高田里惠子というラインナップにひかれて購入。特に最後の高田さんの名前がツボだった。


 冷やし中華を食べながら太田太宰本から小林信彦太宰治―マイ・コメディアン」を読む。これは「面白い小説を見つけるために」(知恵の森文庫)所収のもの。何度も読んでいる文章だが、やっぱり面白い。続けて安吾の「不良少年とキリスト」。これは自分が読んだ太宰関係のエッセイで一番愛読したものだ。今回ももちろん愛読する。

 その他、立川談志堀井憲一郎など執筆陣もなかなか豪華だ。収録作品も「お伽草子」を4篇入れるなど僕の好みに合う。ピンクの表紙を恐れず書店で手に取って見てほしいな。


 バスを降り、コンビニで明日朝のパンを買い、家に向かって歩いていると夜の住宅街にぼんやりと白い塊が群れをなして並んでいる。ある家の垣根に沿って植えられた白いバラの花である。甘い匂いも鼻をくすぐる。見事に薄闇の中に浮かんだ白い花を見ながら、今日が母の日であることを思い出す。白い花が頭の中で赤い花(カーネーション)に変わった。