セザンヌの買い直し。


 昨日になって急遽本日の屋内仕事が中止となる。降って湧いたような休日。明日は、雑司が谷みちくさ市もやっているし、古書往来座に取り置きしてもらっている「名画座手帳2018」も取りに行くことができると心浮き立つ。たまたまSNSで見た“ナンプラーを使った鍋”でもやろうと土曜夕方の賑わいを見せるスーパーで白菜と鶏肉団子とヌクナム(タイ料理よりベトナム料理の方が好きなのでこちらにする)を購入し、帰宅。水800mlにヌクナム大さじ2杯を入れ、本来ならレモン1個を搾るのだが買い忘れたのでポッカレモンで代用する。そこに鶏肉団子と白菜を入れてよく煮たら出来上がり。簡単で結構うまい。ヌクナムの味も久しぶりだ。締めに糖質ゼロ麺を投入してちょっと煮込んで平らげる。


 今朝は、昨日朝の「おかずのクッキング」(テレビ朝日)で土井善晴センセイがやっていたネギトーストを作る。長ネギ一本をみじん切りにし、黒酢・砂糖・醤油・ごま油をそれぞれ大さじ1杯かけて混ぜたものをバターを塗ったトーストにのせるだけ。トーストとネギなんて合うんかいなと疑心暗鬼で口に入れてみるとこれが予想以上にうまかった。ネギの辛味も黒酢と砂糖のコンビネーションでまろやかに丸め込まれていく感じ。


 溜まっていたワイシャツをクリーニング屋に出してから駅に向かう。途中でスマホに着信。電話は弟から。こちらのアクション(送ったシュトーレンや甥姪へのお年玉)へのリアクションではない、弟からのアクションの電話はいつも何かのトラブルや悲報の色合いを帯びることが多いので少し身構えてしまう。内容は父母が眠る墓地に関することだった。赤い警報ではなく、黄色い注意報といった内容だったが、時間とともに赤く色が変わる可能性は充分にあるだろう。頭の中で自分の銀行口座の中身を確認しながら話を聞いていた。



 みちくさ市が行われている雑司が谷へは地元から乗り換えなしで行けるのでありがたい。車中の読書は例の8,500円文庫本である三浦しをん広辞苑をつくる人」(岩波書店広辞苑第七版」予約特典非売品)。第1章国立国語研究所、第2章大日本印刷株式会社、第3章大片忠明さんと冨田幸光さん、第4章株式会社加藤製函所、第5章牧製本印刷株式会社にまえがきとあとがきがついた150ページほどの本だ。第1章に書かれている動詞の語釈検討の話が面白い。「こする」「する」「さする」「なでる」「なする」の違いや「炒める」と「焼く」の違いなど興味深い話が続く。


 雑司が谷の駅を過ぎて池袋駅まで行って下車。ジュンク堂書店古書往来座に寄ってからみちくさ市へいくつもり。ジュンク堂で地元本屋になかった雑誌を1冊買う。

美術手帖2018年2月号



 特集が“テレビドラマをつくる”。「逃げるは恥だが役に立つ」の脚本家である野木亜紀子さんの対談が載っていると知って読んでみたかったのだ。「重版出来」や「俺物語」など漫画原作を見事にドラマ化する彼女の脚本に興味を持っている。そこへオリジナル脚本による新作テレビドラマ「アンナチュラル」が今月から始まった。どんなもんかと2話まで観たが面白い。「シン・ゴジラ」のヒロイン2人(石原さとみ市川実日子)が共演しているのも心踊る。


 古書往来座へ。瀬戸さんとのむみちさんに挨拶をして、店内を回る。いつ来ても充実した棚に顔がほころぶ。


 『三人展』は昭和44年1月に伊勢丹で行われた展示用に作られた冊子。今からほぼ50年前だ。それぞれの作家に関する写真と何ページにもわたる長文の紹介が載っている。安吾の担当は関井光男氏だった。

 その関井光男氏も関わっていた「定本 坂口安吾全集」を大学入学とともに神田の一誠堂で購入した(代金は親に借りた)。大学で坂口安吾を研究するためである。その後、全集はちくま文庫版、筑摩書房版と新しく出版されたが個人的にはこの冬樹社版全集への思い入れが強い。その全集刊行時のパンフレットはやはり欲しくなる。


 これらの本とともにカウンターで「名画座手帳2018」を入手。『本の雑誌』2月号で青山南さんが褒めていた若尾文子直筆の帯文「この手帳には私の青春が詰まっています」は実際に手に取ると一層感慨深い。個人的には橋本愛直筆の「私たちの青春は、この手帳と共に進行していく。」もまた感慨深い。



名画座手帳2018


 古書往来座から歩いて雑司が谷へ。途中、肩にフクロウをのせている女性を見かける。池袋だからイケフクロウと洒落ているのだろうか。鬼子母神手づくり市をやっており、また先日「モヤモヤさま〜ず2」で雑司が谷周辺を取り上げていた影響もあるだろうか、人出が多い。みちくさ市にたどり着き、出店している店を回る。買ったのは以下の本。


 コミマサ本は“暢気文庫”から。ノンちゃんとも久しぶり。娘さんがずいぶん大きくなっていた。前に会った時はまだベビーカーに乗っていたんじゃないかな。

 洲之内本は鬼子母神前みちくさ市ブースから「気まぐれ美術館」シリーズは全て持っているのだが、「セザンヌの塗り残し」は箱のない裸本しか持っていなかったので綺麗な箱入りが安く手に入りうれしい。シリーズラストの「さらば気まぐれ美術館」も美本が安かったのでもう1冊買っておく。このシリーズなら重複しようと構いはしない。



 ゆっくりとしていたかったのだが、明日から一年で一番大変な仕事が始まり、まさに“絶対に休めない闘いがそこにはある”という訳で、早めに帰宅することに。まだ、大丈夫なのだがどうもこの一週間くらい体内に風邪かインフルエンザかの菌が入っているような感じがする。半世紀ほど自分の体と付き合っているので体調を崩しそうな感じがなんとなくわかる。こういう時は暖かくして家にこもり、栄養と睡眠を取るしかない。どんな菌が入ろうと体調を整えて発症させなければこちらのものだ。このやり方で例年周囲のインフルエンザ罹患者を横目になんとか乗り越えてきた。


 帰りの車内でも「広辞苑をつくるひと」を読む。広辞苑の箱を作る株式会社加藤製函所が出てくる。「セザンヌの塗り残し」の箱もここが作ったのだろうか。地元に着くまでに全体の3分の2ほどを読んだ。約5,000円の読書ということになるかな。



 駅ビルの靴屋があと数日で店じまいするため40パーセントオフセールをしている。明日・明後日の雪の予報を考え、滑り止めのついた雪雨用のショートブーツを購入。坂の多いこの街で雪に降られると転倒の危険と隣り合わせになる。予防しておくに越したことはない。それにしても、この店がなくなってしまうとこれからどこで仕事用の革靴を買えばいいのだろう。今履いている革靴は全てこの店で買ったものだ。馬鹿の大足で足に合う革靴を探すのにいつも苦労する。選んで買ってもしばらく靴づれに悩まされることもよくある。試しばきもできない通販で買うなんて考えられない。愛用の店がなくなるというのは本当に困る。



 帰宅して、買ってきた小松菜とメキシコ産のアスパラ(見切り品)にベーコンを入れてオリーブオイル蒸しを作る。粒入りマスタードとオリーブオイルと醤油を混ぜたものをかけて食べる。それにしても野菜が高い。自炊をする時は野菜中心を心がけているのでどうしてもエンゲル係数が上がってしまう。