神保町を封鎖せよ。

 休日出勤で野外仕事。気持ちよく晴れて、風も心地よい。


 午後3時前に仕事終了。電車に乗って神保町へ向かう。


 今日の携帯本は松岡正剛白川静」(平凡社新書)。50ページほどを読んだだけだが、なるほど白川漢字学について興味を持たせるうまい紹介ぶりであるなと思う。

 平凡社新書と言えば、昨日、四谷書房さんのブログで平凡社新書がリニューアルしてデザインが変わるということを知った。現在の紅白十字から青地に白の卵型になるそうだ。個人的には今のデザインの方が好きなんだけどな。


 神保町交差点から地上に出ると、大勢の警官がそちこちに立っており、物々しい雰囲気である。通りには蛇腹式の道路封鎖用鉄柵が準備されていて今日が「昭和の日」であることを思い出した。


 交差点の岩波ホール側に立って信号の変わるのを待っていると向こうの“さぼうる2”の看板に明かりが入っているのが見えた。休日でも営業しているらしい。昼めしを食べていないので早速店内に入り、定番のナポリタンを食べる。この前来た時に店の客扱いに納得いかないものを感じそれ以来足が遠のいていたのであるが、久しぶりに食べるナポリタンはやっぱりうまい。それに、午後4時とあって客も多くないためか、店員さんの応対も悪くない。満足して店を出る。


 いそいそと今日の目的である東京堂3階へ。

  • 『CABIN』11号
  • 『WALK』No.58
  • 『ほんまに』vol.9

 欲しかったミニコミ3点がすべて手に入った。これが欲しかったのだ。畠中さんと少しおしゃべりをしてから店を出る。


 いつものように村山書店の店頭、悠久堂の店頭などをチェックし、コミガレを覗いてから先ほどの交差点を渡り、岩波ブックセンターへ。日曜営業をするようになったとは知っていたが休日も営業するようになったんだね。さぼうる2といいここといいこれまで休日には閉まっていた店が開くようになったことは平日なかなかこの街に来れない者にとってはうれしいことだ。


 右翼系と思われる青いつなぎを着たお兄さんたちと警官が並ぶように立っている歩道を進み、日本特価書籍へ。ここで買おうと買い控えていた本をまとめ買い。

ジョウゼフ・アンドルーズ〈上〉 (岩波文庫)

ジョウゼフ・アンドルーズ〈上〉 (岩波文庫)

たいした問題じゃないが―イギリス・コラム傑作選 (岩波文庫)

たいした問題じゃないが―イギリス・コラム傑作選 (岩波文庫)

獅子文六の二つの昭和 (朝日選書)

獅子文六の二つの昭和 (朝日選書)

 店内で物色していると棚の向こう側から携帯で話す男性の声が。

 「ああ、オヤジですか? はい、もう部隊はこっちへ着いてますよ」

 なんだと思って視線をやると青いつなぎの右翼系かと思われる男性であった。部隊到着までの時間つぶしに本でも見ていたのだろうか。


 店の外から右翼の宣伝カーの叫び声が聞こえてくる。ああ、始まったなと店を出て交差点方向へ向かおうとすると水道橋方面から九段下方向に曲がって靖国通りをデモ行進する一団と出くわす。「天皇制反対!」と叫んでいるので左翼系の人たちだとわかる。なるほど、この左右の接触による騒動を警戒していたのか。いつもは閑散としている休日の神保町がなんとも賑やかで人も多いことをうれしいような困ったような気分で後にする。


 帰りの車内で、『CABIN』から鈴木地蔵「腹の虫―小沼丹再読―」と高橋徹津軽行き2008―津島文治旧蔵写真をめぐって―」を読む。どちらも気持にクイっと入ってくる文章だ。高橋さんのものは古書目録「太宰治特集」作成のための津軽旅行の日録となっている。


 続いて『WALK』の“日記 あるいは偏執狂的日記特集”を読む。ぎっちり中身の詰まった特集である。誰のものから読んでもいいのだが、偶然手が止まった栗原“盗作の文学史”裕一郎さんの「幡ヶ谷グラグラカカ日記」から読む。1ヶ月にわたる日記は読みでがあり、なかなか読み終わらない。この1冊でそれこそ1ヶ月楽しめそうなくらいだ。


 帰宅。今日買ってきたものを読んだり、風呂に入ってジャズを聴いたりして過ごす。『ほんまに』の「東京堂書店〈三階〉訪問記」が面白い。ルポの文章も興味深いのだが、取材の後の飲み会での畠中さんの写真がいい味出しているのだ。記事の内容を読むとやっぱり三階のリトルプレイスコーナーの売上はなかなか思うようにはなっていないようだ。書肆アクセス閉店を嘆いた者としてはこちらと三省堂4階には足しげく通い、欲しい本や雑誌を買い続けなければいけないなと思った。