洗濯をしてから昼に家を出る。
駅から神保町直通の列車に乗り込んだ。仕事を忘れて本の街に行ける喜び、まさに幸福行きの列車である。
その車中で西村賢太「苦役列車」(新潮社)を読む。車内の雑音が気になるのでiPodでビル・エバンスを聴きながら。昨日、CDの整理をしていたら「Sunday at Village Vanguard」と「At The Montreux Jazz Festival」の2枚が見つかり、今日早速iTunesに入れたばかりで聴きたかったのだ。西村賢太とビル・エバンスのミスマッチ感がなんだか楽しい。
- 作者: 西村賢太
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2011/01/26
- メディア: 単行本
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Sunday at the Village Vanguard
- アーティスト: Bill Evans,Scott LaFaro
- 出版社/メーカー: Ojc
- 発売日: 1990/10/25
- メディア: CD
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- アーティスト: Bill Evans
- 出版社/メーカー: Polygram Records
- 発売日: 1990/10/25
- メディア: CD
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「苦役列車」は、いつもの私小説。この作品で芥川賞を取ったといってもまったくいつも通りで“よそ行き感”はない。特に「苦役列車」だからではなく、一連の賢太作品に対する褒賞なのだろうなと思う。友人と思っている日下部の彼女の知り合いの女性を紹介してもらいたいと思った貫多がそのための下ごしらえとして日下部と彼女を野球に誘い、結句自分と違う生まれ育ちの2人に嫌気がさして彼女に罵声を浴びせてしまうシーンはまさに賢太節炸裂で、このカタルシスが西村作品のキモなのだろうな。
3月には「小銭をかぞえる」が文春文庫に入る。しばらく賢太祭は続くようだ。
神保町交差点から地下鉄を出てまずは岩波ブックセンターに向かう。もちろん目指す目的物は『みすず』1・2月合併号の“読書アンケート特集”だ。
店もこの号の人気を知ってかレジカウンターにポップとともに平積みにしていた。
交差点を渡り、東京堂、ふくろう店、三省堂4階と回る。仙台のブックカフェ火星の庭の前野さんが出された本を手に入れたいとおもったのだが、まだ入荷していないようだ。代わりにふくろう店では『雲遊天下』105号を、三省堂では仕事の本を1冊購入。
村井弦斎「食道楽」にちなんだ食堂「三銭均一食道楽おとわ亭」があった場所にあると聞いた「キッチンジロー」の南神保町店(http://d.hatena.ne.jp/jyunku/20110206)で昼食。ハヤシライスとハンバーグの盛り合わせ。
その後、神田伯刺西爾で一休み。『みすず』の読書アンケート号は岩波ブックセンターで買ってここで読むのが儀式のようなものになっている。僕が知る中で一番おいしいシフォンケーキをブレンドコーヒーで流し込みながらムフムフと読書アンケートに目を通す。黒岩比佐子さんの「パンとペン」を挙げる人が多い。ただ、本の評価と黒岩さんへの追悼が等価なものになっているのが気になる。それぞれを別個に行った方が黒岩さんはうれしいのではないかと思ってしまう。
古本屋街を歩き日本特価書籍に至る。
- 作者: 石田五郎
- 出版社/メーカー: みすず書房
- 発売日: 2011/01/21
- メディア: 単行本
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- 作者: 久生十蘭
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 2011/02/04
- メディア: 文庫
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「天文屋渡世」は2008年に田村書店の店頭均一台(タテキン)で元本の筑摩書房版を買って持っているが、“みすず大人の本棚シリーズ”とくれば迷わず買いだ。
ここ数年の河出文庫の充実振りには目を見張るものがある。先月も内澤旬子「センセイの書斎」、柳家花緑+小林照幸「僕が、落語を変える。」、ヴァルター・ベンヤミン「ベンヤミン・アンソロジー」の3冊を買った。今月もあと穂村弘「短歌の友人」が気になる。
みすずも河出もいい本を出してくれる。応援したい。
神保町→九段下→高田馬場というルートでBIGBOX古書感謝市に行く。
BIGBOX改装前の時と比べると多少規模が縮小されてしまったが、やはりこの場所に本が並んでいると気分が浮き立つ。
手始めに文庫の台を覗く。
肌色文庫が安く出ているとつい買ってしまう。中公文庫の2冊は両方ともダブリ本なのだが前者は好きな本ながらあまり見かけないし、後者はこの人の息子さんに高校時代に国語を教わっていたという縁で手が伸びた。
山口本は新潮文庫でもっているので新刊ではスルーしたのだが、古本で安く買うならいいかと選ぶ。
その他、30分以上棚を眺めて3冊購入。
「サクラの花びら」は若き日の坂口安吾が師事したと言われ、41歳で自殺した作家・牧野信一の文学碑建立を記念して出版されたもの。牧野信一を研究していた大学時代の恩師の文章が入っていることもあり興味を惹かれる。建立に当たって書かれた尾崎一雄、井伏鱒二、河上徹太郎などの文章の他、牧野信一への追悼文が多数再録されている。もちろん坂口安吾の書いたものもあった。
ストレス解消でどかっと本を買い、カバンの重みを肩に感じつつ帰る。これもまた幸せ。
地元のコンビニでサッポロ一番塩ラーメンとミックス野菜を買って帰宅し、昨日読んだ「花のズボラ飯」の要領で夕食を作る。と言ってもズボラ飯だから、普通に作った塩ラーメンの上にごま油で炒めたミックス野菜をのせただけだが、ラーメン付属の切りごまに加えて野菜炒めに使ったごま油の風味が加わり、なかなかうまい。
日曜の夜7時は僕にとって「モヤモヤさまぁ〜ず2」の時間なのだが、今週は特番で放送がない。代わりにDVDvol.12から「華のゴールデンSP花小金井編」を観る。「モヤさま」がないと日曜の夜という感じがしない身体になってしまったようだ。