昨晩遅くまで気の休まらない仕事をしていたのにも関わらず、休日返上で出勤。
雪の降る中を傘をさしながら道案内の仕事をする。革靴のつま先がジンジンと音を立てるように冷え切ってしまう。
昼に職場近くのマクドナルドに行き、売り出されたマイアミバーガーを買ってくる。今回のテキサス、アイダホと食べて来てこのマイアミが個人的には一番いい感じ。もう一度ぐらい食べてみようかと思う。
午後は雪の降る中を出張。顧客の家を訪問したのだが、田園調布近辺の豪邸で、部屋に暖炉があった。雪に暖炉はちょっと似合いすぎている。いるだけでも緊張するので30分くらいで切り上げておいとまする。
出張を終えて今日の仕事も終了。地元の駅に戻って本屋へ。
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前から気になっていた2冊を買う。僕の信頼する本読みの人たちの評価も上々の本ばかり。金井美恵子エッセイは「目白雑記」シリーズを愛読しているものとしてはやはり見逃せないし、「乱歩は散歩」や「卑弥呼」という大好きな傑作を書いた久世光彦を夫人が回想した本もやはり読み逃せない。
帰宅して、オイルヒーターで部屋を暖め、コーヒーを入れて、アン・サリー「fo:rest」を流しながら読書。
今夜は、『文學界』3月号に掲載されている小林信彦「流される」を読む。320枚の長編である。「東京少年」、「日本橋バビロン」に連なる自伝的3部作完結編というふれこみだ。内容はこれまでのエッセイなどでおなじみの母方の祖父・高宮信三を軸に筆者の幼少時代から大学卒業までを振り返った作品となっている。「日本橋バビロン」が父方の歴史を描いたものだとすると、こちらは母方の歴史を描いており、丁度対の関係になっている。ただ、すでに「和菓子屋の息子」などを読んだことのある者には周知のエピソードがあれこれと再登場するので目新しさはない。目新しいと言えば、これまであまり触れられてこなかった母方の祖母の宗教関係の話がはっきりと描かれているのが新鮮だった。作品としてはほぼ事実を書いたエッセイと言っていいものであると思われるが、小説作品にするために母方の親類に雇われた滝本という人物が狂言回しの役割を振られて何度か登場している。父親の葬儀後、香典返しを持って行った祖父の家で滝本と出会い、その後喫茶店で話をするシーンの最後の会話は、往年の「唐獅子株式会社」を思い出させるおかしさがあった。
ただ、僕のような小学6年生からの小林信彦ファンならともかく、そうではない一般の読者がこの作品を読んで面白いと感じるのかは正直言ってよく分からない。たぶん、ファン以外の読者からはほとんど評価されてないのではないかと思う。それでもいいのである。こちとらランドセル背負ってる頃からの付き合いなのだ。小林信彦作品ならこれからも全部読んで行こうと決めているのだ。
この『文學界』3月号にはこの他にも朝吹真理子×西村賢太×島田雅彦による芥川賞受賞記念鼎談や西村賢太受賞記念エッセイ「一日」なども載っており、なかなか面白い。
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