二つの漫画半生記。

 今日は仕事が早く終わったので、神保町へ出る。


 目的は最近出たミニコミの『spin』と『CABIN』の最新刊を入手すること。


 まずはすずらん通りのキッチン南海で久しぶりに黒いカツカレーで遅い昼食を。


 東京堂の3階に行く。

  • 『spin』05号
  • 『書評王の島』VOL.2


 残念ながら『CABIN』は見当たらず。『書評王の島』は“豊崎由美責任編集”の書評ミニコミ。池袋西武コミュニティカレッジの書評講座から生まれたものらしい。
 レジで『scripta』no.11を貰う。



 田村書店の店頭から文庫本を2冊。


 「眼中の人」は確か品切れ状態のはずなので、100円なら買いでしょう。



 書泉グランデの地下の漫画コーナーに行き、読みたかった本を見つける。

青春少年マガジン1978~1983 (KCデラックス 週刊少年マガジン)

青春少年マガジン1978~1983 (KCデラックス 週刊少年マガジン)

 「1・2の三四郎」や「柔道部物語」の小林まこと氏の自伝作品。前記2作を愛読していたので気になっていたのだ。


 
 「ダブリナーズ」を読みながら帰る。


 帰宅後、「青春少年マガジン1978〜1983」を読む。聞いていたとおり小林氏の自伝でありながら、同期デビューの仲間だった大和田夏希・小野新二の両氏へのトリビュートととして描かれている。2人は過酷な漫画家生活から大和田氏は自殺、小野氏は病死という最期を迎える。小林氏も心身両面で追い込まれ何度も休載をすることになる(言われてみればその“休載のおわび”を何度か見たことを思い出した)。
 この「青春少年マガジン1978〜1983」が彼らが作品を発表していた『少年マガジン』誌上で連載されていたということに軽い驚きを感じる。読みようによっては(小林氏はもちろんうまくそれを避けているけれども)両氏を追い込んだのは『少年マガジン』だと考えてもおかしくない状況なのだから。


 

 その後、同じ漫画界ではあるが、450万部の売り上げを記録した大手出版社の少年誌の世界とはがらりと違うエロ漫画の下請け編集プロダクションに関わる諸々を書いた塩山芳明「出版奈落の断末魔 エロ漫画の黄金時代」(アストラ)を読了する。

出版奈落の断末魔―エロ漫画の黄金時代

出版奈落の断末魔―エロ漫画の黄金時代


 この本を読むとエロ漫画の下請け編集の仕事がどのようなものであるかがよくわかる。編集者の仕事に限らず、漫画家、投稿者、当局(警察と都庁)、客、マスコミと版元、写植・製版・印刷業者にまで筆を広げているのがすごい。コンビニのエロ本コーナーの向こうにどのような世界が広がっているかを知るための貴重な記録であるだけでなく、“エロ”に関わる世界だけに単なる特殊な業種の紹介に終わらない人間の人間臭い部分を感じさせる人々を描きだした面白い本でもある(また、俗論と言われそうだな)。
 ひとつ気になったのは、塩山さんのブログや本の奥付を見るとどうやら“出版奈落の断末魔”が題名で、“エロ漫画の黄金時代”が副題であるらしいこと。カバーの文字配列から僕はてっきり“出版奈落の断末魔”は角書きで“エロ漫画の黄金時代”が題だと思ってた。ここら辺のところもトークバトルで武藤良子さんに突っ込んでほしいな。