西宮球場の西日。

 なんだか職場で自分が何の役にも立っていないと思わされるような場面がそちこちであり、どんよりした気分で退勤する。


 こういう日は本のストレス買いをしてしまうことが多い。まず、新潮文庫の復刊“おとなの時間”の今月の1冊に松本清張「渡された場面」があるのを発見。この本は中学2年の担任であった先生が勧めてくれた作品だ。当時、コナン・ドイルアガサ・クリスティーといった翻訳推理小説ばかり読んでいた僕に日本のこんな小説も読んでみたらと紹介してくれたのだ。当時本格推理小説こそ王道だと固く信じていたので、社会派推理小説というジャンルでくくられていた松本作品を読む気はとんと起きなかったため、作品名だけ聞いてそのままにしてしまった。今回カバー裏の作品紹介を見ると〈中央文壇志向の青年が盗作した小説が鍵となる長編推理〉とある。面白そうではないか。


 その他に半藤一利坂口安吾と太平洋戦争」(PHP研究所)を見つける。こんな本が出るなんてまったく知らなかった。もと坂口安吾学徒としては見過ごせない。

坂口安吾と太平洋戦争

坂口安吾と太平洋戦争


 また、マンガの平台で山上たつひこ中春こまわり君」(小学館)に目が行きこれも買っておく。
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 家で「中春こまわり君」を読む。小学校高学年か中学生の時に友達の家で『少年チャンピオン』を二人とも無言で読んでいたことを思い出す。友達の家のテレビは巨人対阪急(これは僕の記憶違いでどうやらヤクルト対阪急)の日本シリーズを映し出していた。試合は中断していた。ホームランかファールかで揉めているのだ。あれは後楽園球場だったかも知れないが、僕の記憶では西宮球場であり、選手にも観客にも西日が差していた。