居抜きで讃岐。


 遅番の日。


 朝風呂で金子さんからもらった談志CDを聴く。


 歯医者へ。浅見淵「新編 燈火頬杖」を読みながら順番を待つ。


 職場でうれしいニュースを聞く。どこか最近変わったのではないかと思っていた2人がやっぱりそうだったことが分かり、昨年以来自信をなくしていた自分の見る目に少し信頼を寄せることができるようになったこともうれしい。


 夜8時に退勤。野外仕事で冷えた体を温めるべく駅前に新しくできた讃岐うどん屋に入る。この場所はついこの間までは立ち食いソバ屋であり、そのちょっと前は沖縄ラーメンの店だった。つまり、麺類の店ばかりが出店する店舗であり、そしてそのことごとくが長続きしない店舗なのだ。麺類の店が続くのは経費を抑えてほぼ居抜き状態で店を始めようとするからだろう。今度のうどん屋が長続きする店かどうかを確かめようという気持ちもありつつ、店内に入る。セルフサービス型の店なので、トレイを持ってトッピングを選び、うどんの種類を注文して会計を済ます。熱いうどんに野菜のかき揚げを選ぶ。だし汁は悪くないが、こだわりの自家製麺を謳ったうどんが讃岐と呼ぶにはコシがない。トッピングの種類も少なく5種類くらいしかない。これでは「はなまるうどん」あたりが来たら太刀打ちできそうもないなあとこの店の今後に不安を抱きながら店を出る。