いよ、「後家探し」。


 今日から本格的に仕事が始まる。連休中も仕事はしていたが、職場自体は休んでいたので同僚その他が全部揃うのは今日から。

 いきなり朝イチで自分のセクションの若手が寝坊で出社が遅れるという連絡が。名ばかりの責任者なので、誰かに命じてその穴埋めをさせるなどということはかなわず、自分でその若手の代わりをやりに行く。とほほ。


 あれこれと思うようにはいかず、どこか体も本調子ではなく必要以上に疲れた感覚を体に背負い込んで夜9時前に退勤する。


 いつもの本屋に寄るとこのシリーズの最終配本である第一巻が出ていたのですぐに手に取る。

 吉田篤弘吉田浩美装丁が目にやさしく、黒岩比佐子解説の文字が目にうれしい。


 買った本をカバンに入れて近くのうどん屋に入る。この店は1年ほど前にできた店で“本場香川から参上”と謳っているのだが、できたばかりの時に入ったら手打ちにしては麺のコシがなく、トッピングの揚げ物も2、3品しかなくて自分なりに×をつけてそれから前を通っていても素通りしていた場所だった。それが先日テレビ番組で「はなまるうどん」の特集を見て急に讃岐うどんが食べたくなり、ダメ元で入ってみたらトッピングの種類も倍増し、うどんもコシのあるものになっていたので評価を○に変えたばかり。今日で3回目だ。かき揚げと野菜天におろしぶっかけうどん(冷)で夕食。


 帰りのバスで春風亭昇太崇徳院」を聴く。マクラで「なんたって18歳」の岡崎友紀松坂慶子の違いに言及しているのを聴いているのはちょうどその番組を小学生のころ見ていた年代としてはうれしくてしょうがない。


 帰宅して、「柳田泉の文学遺産」から黒岩さんの解説を読む。大学時代近現代文学の徒のはしくれだったから柳田泉の名前はもちろん聞き知っていたが、英文学研究から明治文学研究に転身し、宮武外骨の下で明治新聞雑誌文庫の整理を担当しながらその所蔵品にことごとく目を通した在野の古本好きであったことを初めて知る。なにやらどこかの大学の名誉教授然としてデンとおさまっていた人かと早吞み込みしていた。亡くなった研究対象の資料収集のために遺族を探してあるく柳田の異名が「後家探し」であったことを黒岩さんは紹介している。落語でお馴染みの揶揄表現である「後家殺し」をその裏に含んだこの言葉によって見たことがない柳田泉の風貌がちょっとひょうきんみを帯びた親しげなものとして脳裏に浮かんでくるようだ。