十五目の夜。


 先週の土日がそれぞれ別の場所での出張野外仕事で休みがなかったため、週末が近づくとともに疲労がたまりそれが頭痛というカタチで存在をアピールし始めたため少し早めに退勤する。


 本屋へ。


快楽としてのミステリー (ちくま文庫)

快楽としてのミステリー (ちくま文庫)

悪態採録控 (ちくま文庫)

悪態採録控 (ちくま文庫)



 今月のちくま文庫の新刊が今日並んだ。その中から2冊。先頃鬼籍に入った丸谷才一のミステリーに関する文章を集めた文庫オリジナル。和田誠装画、精興社の文字、著者・書名索引付き。川崎本は「かがやく日本語の悪態」によって罵詈雑言収集家の顔も持つようになった氏の収集帳。解説なしでひたすら小説・落語に出て来た悪態を抜き書きしている。90ページほどの小説編のうち約70ページを井上ひさし吉里吉里人」からの採録が占めているのが度肝を抜く。それくらいこの小説の言葉は豊かなのだな。大学合格が決まった春休みに読んで以来手に取っていないが、その言葉の豊穣さは今でも記憶に残っている。


 心待ちにしていた「めしばな刑事タチバナ」の最新刊を手に入れた。空腹と読書欲を満たすため行きつけの中華料理屋に入る。


 まずは無料券の餃子と五目ヤキソバを注文し、早速読み始める。うどんが今回のメインテーマと聞いていたが、最初はネギ味噌ラーメン、つぎは自販機アイス、そしてチリ&スパイス、スパゲティパンと続きなかなかうどんは出てこない。その前に五目ヤキソバが来た。ヤキソバには酢をたっぷりかけるのが好きなので、今日も湯水のごとくに酢をかけて食べる。いつも以上に酢が多くなっているのはやはり疲れている証拠だろう。


 左隣の席に来た客が僕のテーブルを見たのか「五目ヤキソバ」を注文する。その後に店に入ってきた女性は僕の右隣に座ったかと思うとこれも「五目ヤキソバ」を頼んだ。これで五目ヤキソバが3つ横に並ぶことになる。別にこの店の名物でもなんでもないのにこの偶然はなんだろう。ちょっと面白い。餃子のタレにもたっぷりの酢を入れておいしくいただく。



 帰宅後、「めしばな刑事タチバナ」の続きを読む。出てきましたうどんの話が。どん兵衛赤いきつねのどちらが好きかから始まって、それぞれが複数の地域用に別々の味を用意しているという比較的知られた話題を経て、讃岐うどんブームによって関東のうどんが徐々に関西だし汁に影響されはじめているという指摘へと移っていく。言われてみればそうかもしれない。コシのある讃岐うどんを包囲するコシのないうどん地帯の話では知らないうどん名や店名・商品名などあきれるほどの情報量にちょっと圧倒される。来春発売の8巻が待ち遠しい。