渇くものと乾かないもの。


 今日は休める日曜日。

 溜まった洗濯をするが、予報通り昼前から雨となったので部屋干しも仕方ない。

 湯船につかってゆっくり朝風呂に入る。BGMは八代亜紀「夜のアルバム」。小西康陽プロデュースのジャズアルバムだ。このジャケット写真といい、Emarcyレーベルであることといい、名盤「ヘレン・メリル・ウィズ・クリフォード・ブラウン」(Emarcy)を意識しているのはすぐ分かる。なにせ、CDの帯(と呼んでいいのだろうか)には当のヘレン・メリルからの祝辞が載っているくらいだから。その他、ライナーノーツには片岡義男氏を起用するなど豪華な一枚。確かに「サマータイム」はヘレン・メリルを彷彿とさせる歌声だ。ただ「クライ・ミー・ア・リヴァー」はイントロのギターからジュリー・ロンドンそのもの。そうは言っても美空ひばりのジャズアルバム「美空ひばり ジャズ&スタンダード」に入っている同曲もほとんどジュリー・ロンドンだからそれだけ「彼女の名はジュリー」の印象が強いのだろう。「虹の彼方に」も八代、美空両方のアルバムに収録されている。美空バージョンが天上に駆け上がって行く高音の魅力なら、八代バージョンは夜風が地を撫でるように吹いて行く低音の魅力だ。「五木の子守唄」がそのまま「いそしぎ」に変る遊びは小西康陽プロデューサーの腕の見せ所といった感じ。


夜のアルバム

夜のアルバム

ヘレン・メリル・ウィズ・クリフォード・ブラウン

ヘレン・メリル・ウィズ・クリフォード・ブラウン

ジャズ&スタンダード

ジャズ&スタンダード

彼女の名はジュリー(1、2)

彼女の名はジュリー(1、2)



 昼過ぎに家を出て職場に向かう。今夜知人のパン屋で新商品の試食会があるのでそれまでの時間つぶしに仕事をしに行く。PCのデスクトップに散乱する様々なファイルやフォルダを整理し、PC盗難などで個人情報が漏れないようにPCのハードディスクから職場のLAN内のハードディスクにデータを移す作業をしているうちに結構な時間になり、職場を出る。


 パン屋のある隣町まで歩いて行く。途中のブックオフに寄り道。半額棚でこれを見つける。


 未所持であったこの文庫を定価より安く買えるとはうれしい。


 次にあゆみBOOKSに寄る。ここに来れば岡崎武志さんの新刊「上京する文學」が手に入るのではないかと期待したのだ。今朝の読売新聞の読書欄にも版元の新日本出版社の広告が載っており、その半分近くのスペースをあてて「上京する文學」を紹介していた。この店は本に関する本への目配りをしっかりしてくれているのできっと置いてあると思ったのだが見当たらず。う〜ん、ここも空振りか。今週この本をずうっと探し続けており、月曜に都内出張の帰りに寄った神保町の東京堂三省堂で見つけられず、水曜は横浜の有隣堂、金曜は鎌倉のたらば書房でも探したのだが出会うことができなかった。もちろん、アマゾンで購入することは容易くできるのだが、岡崎さんの本は書店で買いたいんだよな。欲しい本が手に入らない心の渇きを今日は潤すことができなかった。


上京する文學―漱石から春樹まで

上京する文學―漱石から春樹まで


 「上京する文學」のかわりにこの2冊を買った。

よちよち文藝部

よちよち文藝部

時間ループ物語論

時間ループ物語論



 あの「暴れん坊本屋さん」の久世番子さんの文学者漫画とくればやっぱり読みたい。

 浅羽さんの本は「野望としての教養 大学講義」(時事通信社)を読んで以来素通りできなくなった。“「涼宮ハルヒの憂鬱」から「ファウスト」、浦島太郎伝説、夏目漱石「それから」まで”論じた物語論ならやはり読んでみたい。



 知人への土産の雑誌も買ってからパン屋へ。いつもは入れない工房内で知人の関係者だけの新商品の試食会。3歳からアラフィフまで知人の作った新しいケーキやクッキーを堪能する。確実に去年のものより味のグレードが上がっている。冬の期間限定のこのケーキをこれからの数ヶ月味わえるのかと思うとテンションが上がる。



 帰宅後、録画しておいた「モヤモヤさまあ〜ず2」を観る。部屋干しの洗濯物はまだ少し湿っていた。