家でチンする5秒前。


 休日なのでぐっすり寝ていられるのだが、なぜか7時前に目が覚めてしまう。もっとぐだぐだ寝ていたいのに体が寝てくれない。別に疲れが取れているような感じでもないのに。


 仕方がないので洗濯開始。2回まわして干したら昼近くなる。夕方から雨の予報なのでそれまでには帰ってこようと家を出る。今日はあれこれ買い物をしてから職場に行き、ひとつ気になる仕事をやってこようという算段なのだ。結局休日なのに出勤することを考えている自分に溜め息が出る。


 まずは白楽まで電車に乗り、この間の店でケニアニカラグアの豆を買い、讃岐うどんの店で昼食をとってから知人のパン屋がある駅まで戻る。


 パンを買う前にこの駅にある書店でこれを購入。

  • 石橋毅史「『本屋』は死なない」(新潮社)

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 評判を聞いてほしいと思っていたのだが地元の本屋では見つけられなかったのでとりあえず確保しておく。


 知人の店でこれまで売り切れで買えなかったパンなども含めて数種類買い込み、さて職場まで歩こうかと思っていたら予定より早く雨が落ちてきた。仕方ない予定を変更して洗濯物をとりこみに家に戻ることにする。


 
 帰宅して洗濯物をとりこむともう職場に向かう気は消え失せ、残りの午後は音楽を聴ききながら本を読んで過ごそうと決める。


 先ほど買ってきた「『本屋』は死なない」を開くと、“序章 彼女を駆り立てたものは何か?”から雑司ヶ谷ひぐらし文庫店主・原田さんの名前が登場し、そのまま“第1章 抗う女ーー原田真弓がはじめた「ひぐらし文庫」”に続いている。まさに原田さんの存在がこの「本」と「本屋」をさぐるルポルタージュ本が書かれる原動力となったことがわかる。原田さんが有名な書店員であったとは聞いていたがその詳細についてはこの本を読んではじめて知ることができた。原田さんはパルコブックセンターの書店員としてスタートし、その後パルコがリブロに吸収されてリブロで働き、都合16年間の書店員生活を送っている。その後、 出版社勤務を経て、2010年1月にひぐらし文庫を開店。原田さんの歩んできた道を読みながら、渋谷にあったパルコブックセンターのことを思い出す。ちょっとスノッブな感じのあの店がけっこう好きだったなと思う。その後リブロになってからも何度か足を運んだが、僕はパルコ時代の方が印象に残っている。あの店に原田さんがいたこともあるそうなので、気づかないうちに働く原田さんとすれ違っていたかもしれない。


 BGMはこれら。

スタン・ミーツ・チェット

スタン・ミーツ・チェット

カム・フライ・ウィズ・ミー

カム・フライ・ウィズ・ミー



 夜、電子レンジが届く。とりあえずアース問題にケリをつけて購入にこぎつけた。手に入れたからには使ってみたいので、コンビニに行ってミネストローネとかき揚げそばという妙な取り合わせの夕食を買ってくる。それぞれをレンジでチンして食べる。コンビニで温めてもらった時には味わえなかった規定時間ちょうどの熱さを楽しむ。一番初歩的で安いレンジなのだが、そのせいか「チン」の音が電子音ではなく、昔ながらの音がする。昔、電子レンジが出たての頃にわが家でも購入し、日々台所に「チン」という音が響いていた。そしてある日突然母親が僕に「ちょっと××をチンして」と言った時の驚きを今でもはっきりと覚えている。多分あの時、電子レンジを使用していた多くの家庭で同時多発的に母親たちが「電子レンジで温める」ことを「チンする」と呼びはじめたのであろう。言葉が誕生する現場に立ち会ったような少し恥ずかしくてどこか誇らしい感じでこの「チン」を聞くたびにそのことを思い出す。