『sanpo magazine』散歩。


 気疲れのする仕事を終えてから本屋へ。文春新書の新刊が出ていた。

 本来なら単行本ででてしかるべき2冊だろう。まっていた本なのだが、それが手軽な新書で読めることを喜んでいいのかと出版業界の今後を憂いながらレジへ。


 帰宅するとポストに書肆紅屋さんからメール便が届いていた。急いで封を開けてみるとそこには『sanpo magazine』創刊号が。紅屋さんが先日行った京都で山本善行さんから渡されたうちの1冊を“古本とジャズが好きな人へ”ということで僕に譲ってくれたのだ。というのも特集が“昼ジャズ”だから。


 目次を開いてまずはこのミニコミ誌を手にするきっかけをつくってくれた山本善行さんの「古本ソムリエのジャズ・アット・ランダム」を読む。読み始めて山本さんの文章が“植草甚一テイスト”になっている印象を受ける。エリス・ラーキンスというピアニストのデューク・エリントン曲集の話。ラーキンスはほとんど知らないピアニストなので一度聴いてみたいな。


 山本さんはこの他にもジャズ喫茶「YAMATOYA」の紹介記事や「ジャズの専門店ミムラ」の店主・三村晃夫さんのインタビューに同行したりと大活躍。それを追って幾つかの記事を読んだ後、次々と特集記事を読んでいく。口笛文庫やブックカフェ・ワイルドバンチの店主の方のインタビューが載っているし、山本さんのブログでおなじみの出町柳のジャズ喫茶「LUSH LIFE」の紹介記事もある。大島なえさんのジャズ喫茶についてのエッセイも掲載された充実の特集を堪能した後に待っていたデザートは小特集“本の散歩”のコーナーにあった北村知之さんの「眠りに囲まれた生を歩くー天野忠」。これを読む間、北村さんの文章を読むのが大好きな僕の顔は海神社の境内にいる琴光喜に似た猫のような笑顔であったろうと思う。


 ジャズ特集なので、口笛文庫で買ったこれをBGMにする。

過ぎし夏の想い出

過ぎし夏の想い出

  • アーティスト: ニューヨーク・トリオ,ビル・チャーラップ,ジェイ・レオンハート,ビル・スチュアート
  • 出版社/メーカー: ヴィーナス・レコード
  • 発売日: 2002/07/24
  • メディア: CD
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 関西を散歩する雑誌ではあるが、京都・大阪・神戸に関心を抱く人間の多い東京でもぜひ手に入るようになってほしいミニコミだ。東京堂の3階で編集工房ノアの本と一緒に買って帰れる日が来るといいなと思いながら雑誌を閉じた。


 紅屋さん、山本さん、ありがとうございました。