昨日とうって変わった晴天の朝。
今日はいつもよりちょっとノンビリムードで仕事をする。気に入っているクッキーの“チョイス”を食べながらPCで文書作成に勤しむ。夜8時前には退勤。
いつもの本屋でみすず書房の棚からこんな新刊を見つける。ちょっと小振りな作りといい、題名といい、なかなか面白そうな本だ。
買いはしなかったのだが、そのうち読んでみたいと思わせる本だ。
- 作者: エドワード・G.サイデンステッカー,山口徹三,Edward G. Seidensticker
- 出版社/メーカー: みすず書房
- 発売日: 2008/05/17
- メディア: 単行本
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しかし、あまり注目されていなさそうなのでみすず書房のHPからデータ等を引用しておきます。
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谷中、花と墓地
著者
エドワード・G・サイデンステッカー
編
山口徹三
「どの国においても、墓地は美しい。東京の墓地も例に漏れない。しかし、私の見た限りでは、ほかの国では見られない特色がいくつかある。第一は、花の季節になると町中でもっとも賑やかな場所となることである。まるで盛り場。死者と生者が交流して花を楽しんでいるといった感じである。日本人ではないから、これは神道の影響であるといった差し出がましいことは言えないのであるが、なにかそういう関連があるような気がする。アメリカの開拓時代にも、亡くなった者を裏庭に埋葬する習慣があった。幾分似ているような気がする。とにかく桜の花の満開の時は、賑やかな谷中墓地は独り歩きに理想的な場所であった。
…………
町を散歩するとき、昔から金のたっぷりある界隈よりあまり裕福でない所の方が好きである。谷中の墓地の中でもっとも惨めな墓は、高橋お伝のものであろう。墓地の端っこの公衆便所のそばで今にも滑ってなくなりそうな感じである。私はここが大好きで、側に立ってお伝の顔を想像して、ご苦労さまと言いたくなる」
東京は湯島に住みなして、三社祭の見世物化を憂い、四季の桜・藤・朝顔を愛でながら、浮世を眺め暮らす。古今の日本文化を味得したアメリカ生まれの文人による極上の随筆34篇。
「谷中、花と墓地」の著訳者:
エドワード・G・サイデンステッカー
Edward G. Seidensticker
アメリカ・コロラド州の農家に生まれる。海軍日本語学校で日本語を学んだ後連合軍外交部局の一員として滞日し、そのおり東京大学にて日本文学を研究する。スタンフォード大学、のちコロンビア大学にて日本文学を講ずる。谷崎潤一郎、川端康成、三島由紀夫らの現代文学を英訳、わけても川端の『雪国』の翻訳は彼のノーベル文学賞受賞に多大の寄与をなした。また、A・ウェイリーに続いて『源氏物語』の完訳を果たした。著書『現代日本作家論』『湯島の宿にて』『東京 下町山の手』『流れゆく日々 サイデンステッカー自伝』など多数。
※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。
山口徹三
やまぐち・てつみ
1948年佐賀県に生まれる。友人の故福田裕氏と共に、著者の東京暮らしをサポートした。現在、湯島にて版画の仕事に携わる。
※ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。
目次
I
春の渡り鳥/藤三題/夏の下町/薪能
「都市」の川を楽しむ/谷中、花と墓地/朝顔の夏
II
独立記念日の戦争/山の手と下町/下町取材綺譚
蛙ー私のコレクション/脚/男の礼服/昔馴染み
「日本」/「神の国」の翻訳/杖つきながら…
鍵の国・塀の国/記憶/片仮名/日本人と傘
喫茶店礼賛/年をとる
III
寄席/小津映画/モーツァルト/谷崎先生の手紙
川端家のマダ/桃紅先生のこと/『源氏物語』私見
草田男の一句
IV
花子/花子 その2/別離(花子 その3)
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帰宅してブログ散歩。
昨晩、高円寺のコクテイルで扉野良人さんの「ボマルッオのどんぐり」(晶文社)出版記念会が開かれたことを知る。ずいぶん盛況で多士済々の集まりであったことが複数のブログからうかがえる。
大切な情報は、いつも少し遅れて届けられる。その遅延が世界を魅力的に見せるスパイスであることをすでに僕は知っているのだとうそぶいて己を慰めることにしよう。