書を読んで羊を待つ。


 今朝は朝イチから野外の立ち仕事。そこへ通りかかった同僚から路上でお茶を渡される。乾燥したくこの実や柑橘系の果物が入ったもの。中国産らしく怪しげなパッケージに包まれており、端からはクスリの売買現場に見えるのではないかと思えてしまう。


 昼に先程貰ったお茶をいれる。お茶と言いながら茶葉らしきものは入っておらず、うっすらとお湯に黄色い色が着くだけだった。


 夕方、ある場所に1時間ほど座っていればいいと言う仕事に行く。そこの場所に備え付けられた雑誌ラックから『ちくま』5月号を抜き出して目を通す。荻原魚雷さんが山王書房店主関口良雄さんと野呂邦暢さんの交流の話を書いている。関口さんのエッセイ集「昔日の客」や野呂さんのエッセイ集を読みたくなった。


 退勤後、本屋を覗き、『週刊文春』を買ってから帰る。


 坪内祐三文庫本を狙え!」は高田渡「バーボン・ストリート・ブルース」(ちくま文庫)。


 終わりの方のカラーページで「世界の果てにあったアイルランド 羊の楽園」というのがあり、その写真にしばし我を忘れてしまう。羊の群れの中で一番前にいる顔の白い羊の愛らしさに茫然とする。
 アイルランドに行きたいものだと思うが、行く暇もなさそうなので、村上春樹羊をめぐる冒険」でもそのうち再読してみるかと脈略のないことを考える。


 緑に囲まれた暖炉と本棚しかない小屋で「羊をめぐる冒険」でも読みながら羊(男)が訪ねてくるのを気長に待っているような時間を過ごしたいものだ。