江戸むらさきと割り箸。


 昨晩、早く寝ようと思いながら、偶然つけたテレビでコントや漫才などをやっている芸人が、落語家の師匠について2カ月間の修業で高座に上がるというドキュメント風の番組をやっていたので見てしまう。
 彦摩呂が鶴光師匠、アンガールズ田中が小朝師匠、ますだおかだのますだが昇太師匠、カンニング竹山正蔵師匠について修業するという設定になっていた。発表の場は横浜にぎわい座。それぞれの高座を楽しみにしていると、それぞれ3分も見せてくれず、挙げ句の果てに高座完全収録版DVDが10月3日に発売という告知が繰り返し行われる。これじゃDVDの広告番組だよ。夜中の2時まで見てこれでは泣けてくる。


 今日は遅番。8時に起床して、眼科に行く。また、薬を貰うためだけの検診を受けて、薬局で薬を入手。


 出勤するとまたもや苦情。その対応に追われる。


 なんとか仕事をあげて6時に退勤。携帯を忘れてまた戻る。それからバスに乗りそこねるなど、7時に新宿につけるかと心配したが、なんとかギリギリに東口にある居酒屋に到着。すでに2人の同級生が来ていた。個室を頼んでいたのだが、この縦長のカタチといい、部屋のサイズといいどこかで見たことがあるなあと思っていたら、この店はカラオケボックスを改築したものであったことがわかる。なるほどね。
 そのうち今日の主賓である四国在住の友人登場。その他三々五々と集まって来て都合7人で飲む。
 お互い大学を卒業して23年になることが信じられず、あの頃の飲み会となんら変わることがない。元横浜を代表する暴走族の副番長だったやつ、都営バス・地下鉄全線制覇で東京新聞にでかでかと写真入りで載ったやつ、20代でエステサロンの経営者になったやつ、高校時代に校内放送で当時まだレコード化されていなかった「スネークマン・ショー」をエアチェックして流していたやつ(僕は当時彼の顔も知らずにそれを教室で聴いていた)などメンバーはみな多士済々だ。
 四国から来た主賓は学生時代、仕送りもなくバイト代だけで暮らしており、その困窮振りはバイト代が入るまでの1週間を「江戸むらさき」だけでしのいでいたほどである。それも、スプーンですくうとすぐに無くなってしまうため、割り箸を垂直に差し込んでから、そのまま動かさずに垂直に抜き、箸にうっすらと付いた海苔を時間をかけて舐めるというものであった。当時の僕らの合い言葉は「遠くの難民より、近くの○○(友人の名前)」だったな。


 会計の時、その友人がサイフから一万円を抜き出して渡すのを見て、なんだか変に感動してしまった。失礼な話なのだが。


 竹中労「無頼の点鬼簿」を読みながら帰る。