夫婦蝶々。


 本日出張野外仕事。夏が戻って来たような暑い日。


 仕事の現場につがいの蝶々が迷い込んでくる。まるでダンスを踊っているペアのように微妙な距離を保ちながら不思議な軌道を描いて飛んでゆく。
 現場を囲む木々の緑の輪の中を抜け出るように上昇したアゲハチョウたちは夏の空のような明るい青空に消えていった。蝶を追った視線の向こうに斜め上に向かって飛びつづけるジェット旅客機とその行く手を遮ろうとするかのように横手から飛んで来た小型機が見えた。一瞬、蝶々が2機の機体に化けたかのような錯覚に陥る。


 夕方、大量の汗と空になったペットボトル3本を残して仕事終了。


 横浜駅西口の有隣堂で手帳を物色。2007年9月始まりのMOLESKINEがあればと探すが、あったのはすべて2008年のものだけ。MOLESKINE製品に付いている緑の帯には「ヘミングウェイピカソチャトウィンが愛用していた伝説的ノートブック」というコピーが。チャトウィンってこの2人と並ぶほど有名なんだ。


 代わりのTAGEBUCHというメーカーの2007年10月始まりのものを買って帰る。


 帰宅後、坪内祐三「四百字十一枚」を読む。
 以倉紘平「夜学生」(編集工房ノア)を扱った章を読みながら、先日定時制高校に勤めている友人から久し振りに来たメールを思い出す。
《久しぶり。元気か?俺はクタクタだ。》
 大変なんだな。


 三島由紀夫全集の書簡集に触れた章で、「鏡子の家」の不評に関する書簡の引用を読みながら、三島好きの友だちのことを思い出す。「三島の作品では何が好き?」と聞いた時、「鏡子の家」という答えが返ってきた。その時ちょっと意外な感じがして、いつか読んでみようと思ったことも思い出した。いつか読まなきゃ。