消えていく新宿。

 起きて洗濯して風呂で志ん生「付き馬」を聴いてクリーニング屋に行ってから出かける。


 車中で志ん朝居残り佐平次」を聴きながら、知人の出版記念会があるため新宿へ出る。日曜の新宿をうろつくなんて久し振りだ。まずは腹ごしらえに中村屋の東館に入ってビーフシチュー入りオムライスを食べる。期待していたほどではないな。


 食後、まずは紀伊国屋書店へ。エスカレーターを上がった2階の落語CDコーナーで春風亭柳朝師匠と桂吉朝師匠のものを1枚ずつ買う。


 続いてジュンク堂へ。

和田さんの本は前から欲しいと思っていたのだが、“サイン本”が並んでいたので迷わず購入。『Lmagazine』は猫特集。この他レジで『本』3月号を貰う。
 


 伊勢丹のデパ地下へ行き、愛用していた紅茶のウイッタードを探すが、どこにも見当たらない。1年以上来ないうちになくなってしまったようだ。僕が知っているウイッタードはここだけ。やはり、ロンドンまで行かないといけないのだろうか。


 伊勢丹のメンズ館でスプリング・ロングコートを探す。僕がイメージしているようなものは皆無。なんだかみっともない長さのハーフコートばかりが目につく。三つボタンツータッグのスーツといい、どうやら僕の好みはどんどんと今のトレンドから離れていっているらしい。へん、40過ぎて流行に合わせていられるかいと何も買わずに店を出る。


 会が始まるまでまだ時間があるので、久々にDUGに入る。昔は2フロア以上あったこの店も地下の1フロアのみになってしまって寂しい。学生時代に女の子を誘って初めて新宿に映画を観に来た時に入ったのはこの店の2階だったなと思う。DUGの横の建物が取り壊されて平地になっている。その他にも取り壊された跡地を幾つか見る。いつのまにか新宿という街が以前よりみすぼらしくなっているように感じる。少なくとも僕の記憶としての新宿はだんだんと消えつつある。


 流れるジャズを聴きながら買ってきた『Lmagazine』から山本善行さんの「天声善語」を読む。大阪府中之島図書館で行われた林哲夫さんの講演“雑誌『辻馬車』と波屋書房の周辺”の話。講演の後、山本さんは貸本喫茶ちょうちょぼっこに寄っている。いい一日。 
 その後は、今日の携帯本であるジェイン・オースティン「分別と多感」(ちくま文庫)を読む。いつも思うがこの人は嫌なヤツを書かせるととても生き生きと筆が走る。面白い。


 時間になったので会場の店に行く。主賓の知人の他、以前に一緒に仕事をした顔見知りが何人もいる。懐かしい。ちょうど座った席の前に知人の著書を出版した会社の編集者の方がいた。英語の学術出版のいろいろを聞くことができた。どこの世界もやはり大変なんだよなと実感。


 帰りの電車・バスで志ん朝「付き馬」、「三年目」を聴く。