はなグズグズと桜咲く。

職場へ向かうバスの中から、ふと眺めると沿道の桜並木がうす紅色の花をつけていた。
陽射しは暖かいが、陽がかげると途端に肌寒くなる。
昼過ぎまで野外で仕事。マスクをしているのだが、鼻が敏感に反応してしまう。このあと鼻グズグズの一日となった。
仕事を終えて、歯医者へ。仕事の関係で2回予約をキャンセルしてしまい、久し振りの治療を受ける。待ち時間(これが長い)に出久根達郎「風がページをめるくと」(ちくま文庫)を読んでいると、いつの間にかうたた寝をしてしまっていた。
治療後、本屋へ寄る。

  • 『WiLL』5月号

久世光彦卑弥呼」(新潮文庫)を探すが見当たらず。
卑弥呼」を求めて地元の古本屋と新刊書店をハシゴする。どこにもなし。古本屋で1冊購入。

平成6年に出たあの小豆色の特別復刊。久世光彦「美の死」に名前が出ていた。
帰宅後、『WiLL』に目を通す。
日垣隆さんの連載は、宿敵みずほ銀行の行員との一方的なバトル(もちろん日垣氏がぼこぼこにしているわけです)。こういう嫌みっぽい文章を書かせると絶品ですね。
向井透史さんは、以前に日記で触れていた引っ越しの手伝い話。もし転職するとしたら何になりたいかという友人の問いに「彦摩呂」と答える向井さん、ステキです。


積ん読本の山から発見した高島俊男「メルヘン誕生」(いそっぷ社)を読み始める。久世さんが「美の死」で、《向田邦子の言葉と文章についての本は、これ一冊あればいい。》と言い切っていたもの。彼女の死後、向田文学を全的に肯定する本が溢れる中、その文章の欠点を「無神経」、「粗雑」と指摘している。「父の詫び状」収録の文章を、初出の『銀座百点』にまでさかのぼって検証しているのは、さすが元大学教師であった人だ。腰が据わっている。高島さんは、向田邦子作品の文章を評価しながらも、その欠点はしっかりと指摘するという冷静な筆の運びをしており、好感が持てる。ただ、向田邦子讃歌が消えることのない現状では、この本は冷静に受け入れられにくいかも知れない。文春文庫入りが立ち消えになったのも、あるいはそのあたりか。

今日のピアノトリオ。

Still Live

Still Live

前者は一世を風靡したキースのスタンダーズライブ盤。1986年だからもう20年もたったのか。ピアノを弾きながら唸るキースの声は、あの頃もうるさかったが今もうるさい。とはいえ、うなり声の隙間から漏れ出るピアノの旋律はやはり美しいのだけれど。
後者は寺島本掲載のエバンス盤。昨日の2枚と同じ、お蔵入りの未発表盤。1曲目の「あなたと夜と音楽と」が始まるともうそこはエバンスの世界。彼は決して唸ったりしない。