雀、蛙、狐、狸、パンダ。

遅番の日。風呂で桂枝雀「口入屋」を聴く。
駅ビルでオコワと紅茶を買って職場へ。
夕方、野外に立っていると西日に機体を輝かせた旅客機が筋雲を残して飛んでいくのが見える。どこか異国の地に行きたいという思いがムラムラとわき上がってくる。すぐに日が落ちて、夜の冷気が体に染み込んでくると現実の仕事が先程の夢想を追い払う。
退勤後、本屋で2冊。

  • 矢野誠一「酒場の藝人たち」(文春文庫)
  • 吉村昭「縁起のいい客」(文春文庫)

矢野本は、青蛙房から出ていた「圓生とパンダが死んだ日」を改題したもの。吉村本は短いエッセイを集めた本。内容も変に統一されておらず、バラバラなのが興味をひく。今日も『散歩の達人MOOK』は見つからなかった。
この2冊を持って関西うどんの店に入る。カツ丼とうどんのセットを頼んで「酒場の藝人たち」を繰る。まずは常盤新平氏の解説に目を通す。冒頭、居酒屋でお銚子三本と仕上げにビールの小瓶を飲んで、すっと店を出て行く矢野さんを常盤氏が見かけた話が書かれている。池波正太郎氏も矢野氏もビールの小瓶が似合うしゃれた品のよさを持っているというのだ。なるほどね。こういう文章を読みながら、ビールを飲んでいれば様になるのだろうが、こちとら下戸ときているので、油揚と揚げ玉の入った化かし合いのうどんをずるずるとすすり、カツ丼をはぐはぐと食うだけ。解説でほめていた「林家正蔵の告白」を読んだ。
帰宅後、「紙つぶて」の続き。読んでいると柴田宵曲が読みたくなる。小沢書店で出した「柴田宵曲文集」が欲しいなどとイケナイ考えを起こしそうなので、まずは積ん読本にある岩波文庫の「書物」あたりを掘り起こしてクールダウンさせようと思う。