ポケットの中の文庫本。

夜8時頃退勤。
本屋へ。谷沢永一「紙つぶて 自作自注最終版」を箱から出して熱心に眺めている30代ぐらいの男性がいた。そういえば昨日講談社文芸文庫の棚の前で新刊の篠田一士「三田の詩人たち」を手に取っている20代と思われる女性を見かけてこれもウンウンとうれしくなったことを思い出す。ちくま文庫の棚の前で今月の新刊をチェックしていると隣りで立ち読みしていた50がらみのおじさんが突然平積みの本の上に「バン!」という音が立つほどの高さから持っていた文庫本を投げ捨てたのに出くわす。反射的にその人の顔を見てしまう。おじさんは自分が人から驚かれるような行為をしたという意識はまったくないらしく、目の前の棚に並んだ本の背を眺めている。腹立たしくなってその場をすぐに離れた。
今日はこの2冊を買う。

近藤氏は「腕一本・巴里の横顔 藤田嗣治エッセイ選」(講談社文芸文庫)の選者。
『IN★POCKET』は“2006年『文庫』大予測”。巻頭に永江朗氏による06年の文庫展望があり、その後の「こんな文庫を私は読みたい」というアンケートページに石田千さんがコメントを寄せている。石田さんは電話番の仕事(嵐山光三郎事務所であろう)で関わった川上信定という人について書いている。この方は「本当にうまい朝めしの素」(講談社文庫)という本を出している小説家・エッセイストであると同時に植村修介という名前で文芸評論を書いているとのこと。しかし、文庫では解説にその名を見ることができるだけらしい。石田さんの読みたい文庫本とは未だ編まれていない「植村修介評論集」である。この文章を読んで「本当にうまい朝めしの素」が読みたくなった。
さらに先のページに進むと、「各出版社の文庫部長が語る、今年の動向」というコーナーがあり、河出文庫のページに目が釘付けになる。そこには以下の企画予定が書かれていた。

う〜ん、河出文庫、凄すぎる。
その他、光文社文庫では、吉田健一「酒肴酒」に続き、

が刊行されるとのこと。番町書房のユーモアエッセイ集シリーズの文庫化ではないらしいが、悪くないラインナップだ。
集英社文庫がヘリテージシリーズに触れていないのが残念。
帰りのバスで桂枝雀崇徳院」を聴いていたのだが、なんだか乗り物酔いのような感じになり、軽い嘔吐感をともなう気持ちの悪さがこみ上げてきた。早めに寝ることにしよう。