うれしくてさびしい。

今日も雨。
一日、小部屋にこもって同僚と細かいミスをチェックするような根気のいる仕事をする。肩が凝り、頭がぼうっとする。
気晴らしに同僚を誘い、過日行ったベトナム料理店へ。
前回はあまりいいイメージがなかったのだが、今日食べたバインセオ(お好み焼き)や土鍋の炊き込みご飯は結構美味しかった。ヌックマムの風味も充分に味わえたし。
同僚と別れて、本屋へ。
気になる新刊をいろいろと見かける。

文庫サイズの単行本。大貫さんのブログでの文章を中心にまとめたもののようだ。この小体な感じがいい。

これは数年前に大型判で出た「PERSONA」の普及版にあたるのだろう。値段も4分の1になった。鬼海さんの写真集は「や・ちまた」(みすず書房)を持っている。浅草に来る不思議な顔力とファッションをした人たちを写したポートレイト集で、「ぺるそな」と同系統にあたる。「個性」重視の教育とか、「個性」を育てると言われて久しいが、ここにいる人びとを見れば、「個性」というさわりのいい言葉が、どんなに異形であらがいがたい力をみなぎらせたもののことであるかがよくわかる。「個性」なんて育てられるものではなく、どうしても社会からズレていってしまう抑制を欠いたものであり、自分でも制御できず一生その手綱に引きずられるように添うていかなければならないものなのだろう。その異様な迫力に圧倒されながら、どこか低い笑いがこみ上げてくる不思議な写真集だ。確か中野翠さんも賛辞をおくっていたと記憶している。

気になる翻訳家のひとりである鴻巣友季子さんの新刊。編集者の回顧録同様、翻訳者の翻訳打ち明け話系エッセイが大好きなのでこれはもちろん買いなのだが、明日都内への出張帰りに神保町へ寄る予定のため、今日は買わない。
明日の出張は、今日とは別の仕事なのだが、これもミスをチェックする根気仕事だ。通常業務と違うイレギュラーな仕事に追われている感じがちょっと負担になっている。ただ、その恩恵で毎週1回は神保町周遊ができるのだから、文句を言ってはいけないか。
結局何も買わずに帰宅する。
仕事の関係で、電子辞書が必要となり、日垣隆氏も推奨のカシオEX-word(WD-WP6800)を購入することを決め、昨日も地元量販店を覗いたのだが、在庫切れで値段も3万5千円くらい(値段を掲示した札がはがれて落ちていた)だった。家でアマゾンをチェックすると3万を切る値段で売っているのを発見。早速購入のクリックしたのが昨晩で、今日発送済みのメールが来る。すくなくとも地元量販店に関してはサービス、品揃え、スピードを含めアマゾンの敵ではないことがあきらかだ。駅ビル内にあるという好立地もこの店の延命には手を貸そうとしないだろう。できれば、店で現物に触れ、そして梱包された箱を片手に家路につきたいのだ。その時間の楽しみまで含めて物を買っているはずなのに。安く買えてうれしくて、さびしい。
製本探索 デザイン製本 (2)   ぺるそな や・ちまた―王たちの回廊