円生百均

朝から、音を立てて雨が降る。
昨晩仕上げた仕事を同僚にチェックしてもらい、一部訂正をしてなんとか完成させる。
雨がやまない中を退勤。駅ビル内のダイソーに寄る。
マウス用の単4電池を買いに行ったのだが、店頭にあるCD棚に目が留まる。古い日本映画の主題歌を5曲ほど1枚に収めたCDが置いてある。笠置シズ子「東京ブギウギ」や霧島昇「胸の振子」が入ったものが500円だ。その下には“日本の芸能シリーズ”と銘打った落語のCDが並んでいる。桂小南、三遊亭円馬、三遊亭小円朝、三遊亭円遊といった名前が並ぶ中から1枚選ぶ。

これには値段がついていないので、店員に聞くと「105円です」という答え。噺が2席入った新品が105円とは驚いた。単4電池4本とCD1枚で210円を払う。通常ならこの10倍の値段がついているはずだ。安さによろこぶ前にその安さに怖いものを感じてしまう。これでは小売業が成り立たなくなるのもうなづける。
同じ階にある本屋へ。

先日友人にあげた雑誌を自分用に買う。“沢木耕太郎 旅がはじまる時 特集『深夜特急』ノート”とある。学生街の定食屋で出すランチの大盛りくらい沢木耕太郎がたっぷり。その中で“沢木耕太郎の旅をすすめる16冊の本”に目がいく。書影を写真ではなくイラストにしているのがいい。この雑誌は本のイラストに赤井稚佳という人を使っているのだが、結構気に入ってます。16冊の書名は以下の通り。

恥ずかしながら、この中で読んだことがあるのは近藤本くらい。小田本はギリシャのところを少し読んだことがあるだけ。山田本は前回のアンダーグラウンド・ブック・カフェで買ってまだ積ん読のまま。竹中本と色川本はぜひ手に取って読んでみたい。
深夜特急』の装幀をした平野甲賀さんへのインタビューも載っているが、今日配信された「書評のメルマガ」234号掲載の「林哲夫が選ぶこの一冊」で、林哲夫さんが平野甲賀装幀へ肉薄している。さすがに、画家であり、装幀も手がけている林さんの見方は深い。素人のこちらにはとても目の届かない世界だ。しかし、このように言葉にしてもらえると少しはわかったような気になれるのでありがたいと思う。
家で買ってきた円生師匠のCDを聴く。「百川」に比べ「佐平次」の声が若い気がするのだが、《収録1975年〜1981年》と大雑把なので何時頃なのかははっきりしない。しかも、他の噺家のCDも店にあったものは全て同じ表記であった。105円のCDにそれ以上のことを求めてはいけないのだろうか、やっぱり。