本をまた山にしていく。

休日出勤。
コンビニで昼と夜の食事を買い込んで職場へ。
人気のない職場の机に向いひたすらパソコンのキーを叩く。たまに気分転換にipodでジャズなどを聴きながら。
突然、ギシギシという音とともに揺れがやってくる。ネットでニュースを見ると東京周辺は震度4らしい。部屋の状態が心配だ。しかし、それどころではなく、マウスをクリック、クリック。
コンビニの食事を2回済ませ、なんとか夜の10時前に職場を出る。毎度のことながら、締め切り直前にならないと真正面から仕事の取り組めない自分が情けない。いつもその場しのぎで生きているようにしか感じられず、何の達成感もなくバスで駅まで。駅ビルに着くと、まだ本屋のある階に灯がついている。閉店まであと10分。エスカレーターを歩きながら昇っていく。

  • 本の雑誌』11月号
  • 『クイック・ジャパン』Vol.62

駅からのバスを待ちながら、『本の雑誌』に目を通す。まずは「坪内祐三の読書日記」から。
坪内さんは、軽井沢の本屋から始まり、渋谷の旭屋書店と神保町の北沢書店1階の閉店に思いを馳せ、そして愛用の原稿用紙メーカーであるテーエス社の倒産に語り及ぶ。思い起こせば、僕も高校時代に銀座の伊東屋で買ったグリーン罫のテーエス社製400字詰原稿用紙を愛用していたのだった。その当時原稿用紙といえばコクヨの赤茶罫のものしか街の文房具屋では手に入らず、好きなグリーンのものはコクヨのB5版200字詰のものしかなかった。もうずいぶん原稿用紙に文章を書くことをしていないな。テーエス社のものは残っていないけれども、大学の生協で買った大学名入りの原稿用紙(これもグリーン)が部屋のどこかに残っているはずだ。今度、暇な時にでも、これも買ってほとんど使っていないペリカンの万年筆でひとつ文章でも書いてみようかと思う。別に書きたいことがあるわけではないけど。
本の雑誌』の巻頭は、大森望×岸本佐知子×豊崎由美「フラメンコ書評の秘密」という座談会。書肆アクセス半畳日記でこの座談会の存在を知り、ぜひ読んでみたかったのだ。岸本さんが映画のページのテーマ選択で『ku:nel』をしくじる話が笑えます。“むちゃくちゃまずそうな食べ物がでてくる三本”なんてリスト面白そうなのに。英国映画からならすぐに見つかるんじゃないかな。
部屋に帰ると、やはり本の山がいくつが崩れていた。床に転がっている本を拾い上げると、忘れていた本がそこここに。思いがけない本との再会がちょっとうれしい。まあ、悪いことばかりじゃないと思いながら、本をまた山にしていく。