虫歯文学の傑作。


 今日は職場で昼から新年会。その後の仕事があるためアルコールは乾杯の一口だけ。忘年会で食べられなかったケーキを早めにゲット。よほど執拗に冷やしておいたらしくまるでアイスを食べているようであった。


 夕方退勤して本屋へ。

 小島本は坪内祐三アメリカ」→江藤淳→「成熟と喪失」→小島信夫村上春樹「若い読者のための短篇小説案内」における小島信夫「馬」の解説→「アメリカン・スクール」(「馬」を収録)という連想で購入。
 『文學界』をこれまで買い続けていたものの今年からやめようかと1月号は買い控えていた。しかし、2月号は座談会「世界文学は越境する」(池澤夏樹×鴻巣友季子×沼野充義)と対談「文学の鬼」(阿川弘之×大久保房男)に惹かれて手に取る。


 地元の古本屋を流して別の新刊本屋をのぞいている時に『SPA!』に「孤独のグルメ」特別編が載っていることを思い出し買っておく。


 帰宅後、『SPA!』の「孤独のグルメ」特別編を読む。なるほど確かにこの状況は“孤独”のグルメではあるけれど、この連作は“移動”や“街歩き”という楽しみとともにあったものなので個人的にはちょっと物足りないかな。


 『文學界』をぱらぱら眺めていると、書評ページに大学時代の恩師のひとり笠原伸夫先生の松本徹「小栗往還記」の書評が載ってるではないか。一読、先生独特の文章の香りを久しぶりにかいだ感じ。
 それから、池澤×鴻巣×沼野座談会を読んだ。


 今日の夕食時から急に歯が痛くなる。左の奥歯の親知らずのところだ。前から予兆はあったのだが、今夜虫歯がルビコン川を渡ったらしい。左肩から背中にかけて凝り固まったような状態になる。歯医者に行くのを先延ばしにしていた罰だな。


 虫歯の痛みにぼうっとしながら、坂口安吾「不良少年とキリスト」という太宰の死に関するエッセイを思い出す。太宰の情死を知った時、安吾は虫歯に苦しんでいた。そして、“原子爆弾で一度に何万人も殺せたって、ひとりの虫歯ひとつ直せなくてなにが文明だ。バカヤロー”(記憶で書いています)という大好きな啖呵をきるのだ。小説ではないので見落とされがちだが、個人的には虫歯文学の傑作だと思う。