そこからカズダンスは見えるかい?

朝から雨。休日出張はほとんど野外での仕事となるので、着替えやカッパなどをカバンに詰め込んでいく。
出張場所近くで横浜FCの試合があり、昼食を食べに入った食堂にサポーターが数名いて、いろいろと話をしている。監督に対する不満から始まり、他チームのサポーター評に移り、浦和レッズサポーターは“浦和赤軍”と呼ばれているくらい悪いとか、大宮アルディージャサポーターは“おたく”ばっかりだとか、試合前から熱く燃えている。
スタジアムの横を通ると、柵に立てかけた脚立にしがみつきながら、試合を覗き見しているサポーターを発見する。たぶんその位置でないとグランドが覗けないポイントなのだろう。脚立はガムテープで柵に固定されており、思いつきではなく周到に計画された行為であることがわかる。しっかりと横浜FCのユニホームを着たサポーターであるその男性(30代後半から40代前半くらい)は、中の応援に合わせて、手にしたラッパのようなものを鳴らしている。なぜそこまでして応援する、というより、なぜスタンドで応援しないのだ。お金がないのか。それほどにチケットは高価なのか。外からも見える電光掲示板には“FW ミウラ カズヨシ”の文字が。オーストラリアのシドニーFCへの移籍を決めたカズの門出を祝い、残り少ないこのチームでの勇姿を目に焼き付けようとしているのだろうか。そこからカズダンスは見えるのだろうか。
仕事のない時間帯は、仕事場近くのレストハウスで読書。先日からお供本としている立川談志「談志楽屋噺」を数ページ読んでは仕事に行き、また戻ってきて数ページ読むといった1日を過ごす。
帰りのバスは最後尾の座席にアグラをかいたスエットの女の子3名が大声で話しているのが気になるため、ipod志ん朝師匠の「船徳」を聴きながら。若旦那の船頭操る舟がぐるぐる3度回転するようにバスもつづら折りの坂を右に左に車体を振り振り下りて行く。
電車に乗り換え、帰宅するはずが、ふと思いつき途中下車してブックオフに寄る。105円棚から。

集英社版「日本文学全集」は永井龍男氏の長編「皿皿皿と皿」が読みたくて購入。「okatakeの日記」によれば中央公論版「日本の文学 阿部知二永井龍男」には長編「風ふたたび」が収録されているとのこと。同じく105円棚にあったのに買いのがした。残念。
「風に吹かれて」はもちろん佐野繁次郎装幀本。これは一箱古本市用のダブリ買い。
帰宅してテレビをつけると「東西お笑いネタバトル」という番組がフジテレビでやっている。そのトリに漫才の昭和のいる・こいる師匠が登場する。新宿の末広亭などで何度も見ているお二人が、日曜のゴールデンタイムに登場するとは。このシュチュエーションだけでなんだか可笑しい。見ているこちらも「うん、うん、うん、いいね、いいね、いいね」と高速で頷いてしまう。