歯医者にご用心。

仕事帰りに歯医者へ行く。
本当はもっと前に行かなければならなかったのだが、あれこれ理由をつけているうちに2年の月日が流れていた。もう先延ばしはできないと諦める。
予想通り、しばらくは通わなければならないようだ。
ピンク色の粘土状のもので上下の歯の型を取る。取り終わった後、歯科衛生士の女性が口周りを拭いてくれたのでありがたく思っていたのだが、歯医者を出る前にトイレに寄って鏡を見ると口元を中心とした広い範囲にピンク色の細かい物体が付着しているではないか。いい大人がこんなものを顔につけたまま街をあるいたらいい笑いものだよ。歯医者を出るときは必ず鏡を見てからと心に決める。
本屋へ。

  • 『東京人』4月号

神楽坂と池袋モンパルナス特集号だ。レジで『本の旅人』を貰う。
バス待ちで『本の旅人』に目を通すと、久世光彦氏の連載小説(「都々逸な女たち」)が載っていた。
帰宅して『東京人』を手に取る。まず、“神楽坂”特集から、四方田犬彦氏と坂崎重盛氏の文章を読む。坂崎氏の「神楽坂を上り下った文士たち」が興味深い。神楽坂にまつわる文学者名とその作品名がたくさん出てくる。それだけでなんだかお祭り気分のようだ。永井龍男「石版東京図会」、野口冨士男「かくてありけり」「私のなかの東京」、矢田津世子「神楽坂」などなど。その中で「大東京繁昌記」(平凡社ライブラリー)の「早稲田神楽坂」の項目を加能作次郎が書いていることを知る。こんど積読本の山から探して読んでみよう。
“池袋モンパルナス”特集からは堀江敏幸「表紙の化合物、麻生三郎のこと。」を読む。氏は麻生三郎の名を昔買った講談社文庫の福永武彦「夜の三部作」のカバー絵で初めて知ったことから書き起こしている。掲載されている白地に黒の線で人の顔が描かれて「夜の三部作」がいい。古い講談社文庫への興味がかきたてられる。

その後、八木福次郎「書痴斎藤昌三書物展望社」(平凡社)を読み始める。これは、昨日の「古書現世店番日記」を読んで、今日の昼に向井さんにたまらず電話してしまったことによる。明日BIGBOXで受け取ることになったので、その予習を始めたのだ。読んでいると思いのほか三田平凡寺について詳しく触れられている。平凡寺関連書として荒俣宏(編)「異彩天才伝」の名を八木氏が挙げているのを読んでうれしくなった。福武文庫版を先日早稲田のメープルブックスで偶然買ったばかりなのだ。「異彩天才伝」の中に、平凡寺の娘婿にあたる雨田光平氏と孫にあたる夏目房之介氏の平凡寺に関する文章が収録されているとのこと。しめしめ、これも読んでやろうと思う。

書痴斎藤昌三と書物展望社

書痴斎藤昌三と書物展望社

今日のピアノトリオ。

スピーク・ロウ+3 紙ジャケット仕様

スピーク・ロウ+3 紙ジャケット仕様

寺島本収録の2枚。
上に跳ねていくようなケリーの音と、下から横へと広がっていくようなビショップ・ジュニアの音を楽しむ。