仕事を終えてから、最寄り駅のトラベルビューローに行き、8月12日と14日の新幹線の切符を入手する。宿の予約も入れてあるので、これで下鴨納涼古本まつり行きの準備が整ったことになる。これからはそれを楽しみに日々を過ごしていくことにする。
高揚した気分となり、足がブックオフへと向かってしまう。3冊購入。
関川本は、マンガ評論集。単行本が出たのが1991年だから、僕が就職して数年経ったくらいの頃だ。その頃はまだ『週刊モーニング』を毎週購読しており、この本の中でもその当時掲載されていたマンガが6作品ほど取り上げられている。須賀原洋行「気分は形而上」、わたせせいぞう「ハートカクテル」、尾瀬あきら「夏子の酒」、新井英樹「宮本から君へ」、弘兼憲史「課長 島耕作」、かわぐちかいじ「沈黙の艦隊」などがそうだ。現在はマンガ雑誌を買うという習慣がなく、コンビニで表紙を眺めるくらいなのだが、先日見た「週刊モーニング」の表紙には“取締役 島耕作”という文字が踊っていたので、思わず笑ってしまう。おいおい、どこまでいく気だ島耕作。あいかわらずモテモテなのか島耕作。おじさんのアコガレ一直線ということか。
「なんだか・おかしな・人たち」は、文藝春秋編のアンソロジーの一冊なのだが、なかなか充実したラインナップなので、目次を紹介してしまおう。
- 井上ひさし「わがアイデア母さん」
- 古今亭志ん生「酒と女と貧乏と」
- 東郷青児「ヘソのない女」
- 今日出海「飲む打つ買うの天才・青山二郎」
- 吉田健一「宰相御曹子貧窮す」
- 山本嘉次郎「カツドウ屋奇人伝」
- 扇谷正造「ブンヤ奇人伝」
- 桐竹紋十郎「女遊びは芸のコヤシや」
- 木山捷平「歳末貧窮ばなし」
- 大宅壮一「怪僧・出口王仁三郎」
- 春風亭柳橋「わが色懺悔」
- 渋沢秀雄「渋沢一族」
- 木村義雄「愛すべきドロ亀・垢石一代記」
- 矢野誠一「酔いどれ貴族・笑福亭松鶴」
- 福島慶子「うちの宿六」
- 阿佐田哲也「一刀斎の麻雀」
- 土田玄太(田中小実昌)「やくざアルバイト」
- 徳川夢声「獅子文六行状記」
- 山本嘉次郎「夢声“アル中人生”の泣き笑い」
- 高橋義孝「実説 百間記」(間は本当は門に月)
- 中村光夫「狂気の文学者・永井荷風」
- 金子光晴・山之口貘・草野心平「貧乏三詩人大座談会」
こうして写しているだけでも、顔がほころんでくるようなアンソロジーですね。ゴシップ好きにはたまらない。やはり、文春文庫のこのシリーズは要チェックだ。
黒岩さんの本は、新刊で探していたのだけれど、これまで巡り会えず。申し訳ないのだが、古本で購入。この本は以前、岡崎武志さんが日誌で取り上げて誉めていたので、ずうっと気になっていた本のひとつ。
新刊書店によって『ku:nel』vol.15を買ってから帰る。
家で、先日買った永島慎二「漫画家残酷物語」の1、2巻を読む。同じ絵を描きたくないという永島さんらしく、一話ごとに微妙に絵柄の印象が変わる。残酷と題にあるように、話は悲劇的なものが多い。読後感は暗いが、湿ってはいない。これらの作品が自分の生まれる前のものだということに少し驚く。
「フーテン」も手に入れて是非読んでみたい。