京都旅行1

今日は午後京都に着き、古本屋を幾つか回った後、夕方から「スムース友の会」に出席する。3時間を超える楽しい会であった。
携帯から書いているので詳細は帰ってから報告いたします。
明日も京都の古本屋を回って夕方帰京する予定。

【付記】
以下、この日の詳細について書いておきます。

新幹線で昼過ぎに京都駅へ着く。本日の宿である東横イン京都四条烏丸に行き、大きなバッグだけ預けて身軽になる。ホテルの隣にあるイノダコーヒーで昼食。オムライスのハヤシソースがけを食べる。ここのオムライスはその他に海老フライがのっているものやカレーがかかっているものなどがあってちょっと驚く。
腹ごしらえを済ませて、いざ古本屋周遊に出発。とは言うものの最初に目指したのは、新刊書店である恵文社一乗寺店だ。都電荒川線を思わせるような叡山電鉄に揺られて一乗寺駅へ。何の変哲もない商店街を歩いていくと恵文社一乗寺店が。扉を開けると、それまでの寂れた街の雰囲気とは別世界が展開されている。すでに若い女性を中心に店内には10人近い人が熱心に書棚を眺めていた。実は、ここに来るのは初めてではない。昨年の10月に仕事で京都へ出張した時、昼間の数時間ほどの自由時間にここを訪れているのだ。その時にこの書店の素晴らしさに魅せられて、是非もう一度と思っていたため、こうしてやって来たのである。この店の魅力については多くの人が語っているので今更とやかく述べるつもりはないが、この場所にいると本というのはこんなにも魅力的なものであるのかとしみじみ感心してしまう。いつも書店で見ている本でさえ、ここの書棚に並んでいるだけで背表紙から発する光が何倍にもなって目に飛び込んでくる気がする。うかうかしていると、古本屋回りの前に持ちきれないほど新刊を買ってしまいそうなので、2冊だけにしぼる。山田稔特別な一日」(平凡社ライブラリー)と林哲夫「喫茶店の時代」(編集工房ノア)。前者は買おうと思っていて東京の書店では見つけられなかったもの。後者も前から買おうと思っていたのだが、今日著者に会うのでサインをもらうつもりで購入。
恵文社を出て、元きた道を戻り、駅も越えて行くと萩書房がある。ここはサブカルチャーを中心に色々なジャンルのものが集められていて楽しい。とりあえず、岸田麗子「父 岸田劉生」(中公文庫)を200円で(絶版だと思って買ったのだがあとでそうではないとわかる)。そこから白川通りに入り、文庫堂などを覗いてからガケ書房へ。この店も今回是非行ってみたかったところのひとつ。トレードマークの車と石を積み上げた壁はやはりインパクトがある。思わず笑ってしまう。中に入ると予想していたよりも店内が広い。それに古本屋というイメージを持っていたのだが、どちらかと言うと新刊の比重が高い店であった。それでも、山本善行さんの古本コーナーなどもあり古本屋としても侮れない。善行棚より『ノーサイド』の戦後日本人女優特集号を購う。この雑誌が大好きだったので廃刊になった時はショックだった。外国人女優特集は新刊で買っていたのだがこの号は未入手だったのでうれしい。その他にも雑誌の棚(新刊)の充実ぶりに感心する。外観は奇をてらっているけれど、芯が通っている印象。
その後、今出川通りへ出て、京大前の書店を流す。井上書店、あーす書房、外山書店、吉岡書店など。残念ながら何も買えず。手が伸びる本もあるのだが、わざわざ京都まで来て買わなくても地元でも買えるじゃないかという気が自然とブレーキをかけてしまっているようだ。印象に残ったのはあーす書房の雑然とした感じ。棚の間が狭いので身動きが難しい。ちょうど居合わせた高校生と思われる客が店主の方に江國香織の本の有無を聞いていた。なにもこの店で江國香織を探さなくても。それでも店主の方は丁寧に対応しておられたのが好印象であった。
疲れたので進々堂で一休みと思ったが、定休日。そこでいったんホテルへ戻ることにする。部屋に荷物を置き、「スムース友の会」の会場の場所を確認してからホテルを出る。四条通りを鴨川方面へ進み、途中ジュンク堂などを冷やかしながら、木屋町通に折れる。先斗町自転車駐車場横のビルに会場となる「ディラン・セカンド」があった。開始10分前に着くと受付に林哲夫さんと岡崎武志さんの姿が。林さんが岡崎さんに紹介してくださる。岡崎さん曰く「ああ、あなたですか。あの…」と岡崎日誌のブログ化計画などと勝手にぶち上げた件を含んでの反応であると思われるので、「お騒がせしてすみません」とご挨拶する。「日誌はブログにします」の言葉を聞き、思いがかなったということに。うれしい。山本善行さんからも声をかけられる。「泣き笑い古本日記」ブログ化の件に触れると、「ああ言ってもらえると励みになる」という返事。ほっとする。
「スムース友の会」が開始される。均一(岡崎さん)と赤貧(山本さん)の100円で買った本10番勝負などで盛り上がる(詳細は林さんがデイリースムースに書かれているのでそちらを参照してください)。続いて行われたスムース同人によるオークションで、3点競り落とす。

特に洲之内特集号は、探していたものなのでうれしかったなあ。南陀楼さんや向井さんのブログによく登場する前田和彦さんに「よく品物が競合しますね。だけど学生だからお金がないので勝てない」と言われる。なんだか札束で美術品を買いあさっているバブル時代の成金社長になったような気がする。南陀楼さんからも「よく買ってましたね」と声をかけられる。洲之内特集号狙いで大人しくしていたつもりなのだが、そんなにバブリー野郎状態であっただろうかとちょっと反省。でも、3000円足らずでこんなに楽しく盛り上がれるのだから安い遊びだと思う。それにしても、スムース同人の方々を含め会場にいらした参加者の皆さんが、いい大人なのに本のことで夢中になって楽しみ、熱くなっている姿というのはとてもいいものですね。
楽しい一夜でした。
解散後、なにか熱ぽいような高揚感をさますため、ホテル前を通り過ぎ、街をぶらつく。小腹がすいたので、ラーメン屋に入る。「新感覚北海道らーめん」とか「麺の達人」などと大書してある看板に嫌な予感はあったのだが、頼んだみそラーメンは見事に旨くない。カウンターの壁には「×××(店名)のスープがおいしい理由」といった説明書きがある。「おいしくない理由を考えろ」と心の中で突っ込みを入れ、ホテルへ帰る。
部屋で、行きの新幹線から読み始めた山田稔「旅のなかの旅」(白水社)の続きを読む。ギリシャ、モロッコスコットランドへの旅を記したもの。旅した国の風景や風俗、そして人々よりも作者という人間が前面に出ているのが面白い。いや、そうだから面白いのだろう。必ず、女性にこだわり、ウイスキーを飲まずにはいられず、旅の失敗を繰り返すその姿にどうしても自分の姿を重ねてしまう。
12時過ぎに就寝。