バケツとケトルと猿。


 今朝、バスに乗って出発を待っているとそこへ乗り込んできた制服姿の女子高生の手にバケツがあった。プラスチック製の青とグレーの中間色のありふれた空のバケツである。彼女は何用あってバケツを手に登校するのだろうか。運動部のマネージャーで選手の足をアイシングするための氷入れとして? 書道部でカーペット大の半紙に箒のような筆で書のパフォーマンスをするため? 極度の乗り物酔いで駅までの10分足らずの乗車時間に耐えられそうもないためのエチケット用として? 朝から妄想が頭の中でぐるぐると駆け巡った。


 職場はイベントの日。大勢の来客でごった返す。イベント開始前の待ち時間に同僚から「妻が最近落語に興味を持ち始めたのだが、どうすればいいか?」と聞かれる。とりあえず、近場の横浜にぎわい座とオススメの落語家を教え、慣れてきたら新宿末廣亭に行って寄席の雰囲気を楽しんでみたらとアドバイス。イベント開始後は、笑顔の挨拶とビジネストーク。イベントは昼で終わり、静かになった職場で机仕事。一週間の疲れが出るのか、パソコンを前にしてなんども舟を漕ぐ。ローエンドローを繰り返しているうちにせっかく打ち込んだ文書が消えてしまう。思わずあげた声に隣の席の同僚がビクッと体を震わせた。ここが潮時と文書をとりあえず復元したところで店じまい。


 本屋へ。

  • 『ケトル』vol.37
  • 『MONKEY』vol.12


ケトルVOL.37
MONKEY vol.12 翻訳は嫌い?




 今日は雑誌を2冊。

 『ケトル』は“横山三国志が大好き”。実は、「三国志」(含む三国志演義)と「水滸伝」をちゃんと読んだことがない。これはちょっと恥ずかしいと思っているところがあって、kindleには吉川英治三国志」を入れてあるのだが、全8冊をまとめてそう簡単には読めないので、途中で止まっているのが現状だ。そこで漫画の横山光輝「三国志」ならもっと短い時間で集中して読めるのではないかと以前から気になっていた。しかし、横山「三国志」は60巻もあるんですね。さすがにこの巻数を一挙に読むのは難しい。さて、どうしますか。 

 『MONKEY』は“翻訳は嫌い?”。今号から柴田元幸氏による「日本翻訳史」の連載が始まった。今回は“明治編 前半”。連載後は多分書籍になるとは思うが、この作者と内容ならやはり気になる。翻訳に関わる柴田元幸村上春樹対談が2つ収録されているのもウリだろう。この対談の挿絵には故・安西水丸氏のイラストが使われていてそのスタイリッシュで開放感のある世界に見とれる。今更ながらに惜しい人をなくしたと思う。



 駅ビルのストアでりんごとキャベツとベーコンを買い、コンビニでカールを買って帰宅。録画しておいた「孤独のグルメ」をカールのチーズ味を食べながら観る。関東での販売中止報道の後、しばらく姿を消していたカールが店頭に戻ってきた。騒動も少し落ち着いてきたのかもしれない。久しぶりに食べるカールは以前よりも美味しくなっているような気がした。画面では五郎さんが美味しそうにアジフライを食べていた。

 週末の定番、キャベツとベーコンのオリーブオイル蒸し焼きを作り「ブラタモリ」を観ながら夕食。タモリは先週に続いて名古屋を歩く。そうか、東海道は熱田と桑名の間だけ陸路ではなく、海路だったんだな。番組で櫃まぶしで有名な鰻の名店が出てきたり、桑名という地名から焼きハマグリを思い浮かべたりしたが、先ほどのアジフライを含めて正直魚介類にはあまりそそられない。それよりも、今はキャベツの甘さやベーコンの塩味のきいた旨味の方に心つかまれる。