4人で3P。


 新しい年が始まった。

 このマンションで暮らし始めたのが去年の元旦からだったからちょうど1年たったという訳だ。


 まずは朝風呂に入る。湯船につかりながら古今亭志ん朝「御慶」を聴く。


 9時に部屋を出ると4階の廊下から小さいがくっきりとした富士山が見えた。いい天気だ。

 電車で実家へ。弟は仕事で留守。両親がいなくなったのを機に家業をたたみ、昔やっていた長距離トラックの運転手に転職したのだ。大晦日から元旦に掛けて関西へ荷物を運んでいる。仏壇に線香をあげ、姪と甥にお年玉を渡し、義妹に相続関係の書類を預けて帰る。


 行き帰りの車内で読んだ今年最初の本はこちら。


『罪と罰』を読まない


 ドストエフスキー罪と罰」を読んでいない4人が少ない情報をたよりにその内容を想像していくという座談会が収められている。僕が「罪と罰」を読んだのが大学1年の頃だからもう30年程前になるため、細部はほとんど忘れているから4人の迷走ぶりをほぼ同じ目線で楽しめた。この読書会を面白くしているポイントのひとつは三浦しをんの適度な暴走。ラスコーリニコフ(フルネームのロジオン・ロマーヌイチ・ラスコーリニコフは僕も覚えていた。ロシア語の表記ではすべてPで始まる名前なのをこの本で知った。)が殺したのが大家ではなく金貸しの老婆だと分かってからも何度も「大家を殺した」という発言を繰り返したりしながらも、彼女が積極的に読みを示すことで会話にリズムと勢いが出て話が弾むエンジンのような役割を果たしている。ニヤニヤしながら面白く読了。最良の「罪と罰」の読書案内だな。この本を読んだ未読者は「罪と罰」が読みたくなること請け合いだ。本を読む楽しさを感じさせてくれる本を今年最初の1冊に選んだのは我ながら正解だったと思う。今年の読書に弾みがつきそうだ。


 半蔵門線神保町駅三田線に乗り換え。ちょっと元日の神保町を歩いてみる。書店はみな店を閉めている。そりゃそうだ。ただ、diskunionは開いていたので寄ってしまう。中古レコードのセールをやっていた。2枚買って帰る。



Sal Salvador Quintet [Analog]
ダウン・ホーム +6



 帰宅して買ってきたレコードを聴きながら過ごす。のんびりとした正月になった。