口の中の富士。


 仕事を終えて歯医者に行く。年末に歯の詰めものがポロリと取れてしまったのだ。


 ぽっかりと開いてしまった穴にセメントを詰めていく先生と助手の歯科衛生士との会話が耳に入る。


 (先生)「『富士』を持ってきて」
 (助手)「『富士』の22号ですね」
 (先生)「そう2滴」
 
 詰め込みの作業をしながら
 (先生)「やっぱり、『真珠』の方が良かったかな」
 (助手)「……」


 結局、そのまま『富士』を詰め込まれて治療終了。ベストな選択ではないが、歯の穴に小さな富士山が詰め込まれているようなイメージを頭に浮かべつつ歯科医院を出て本屋へ。

  • 『文藝』2009年春号

文藝 2009年 02月号 [雑誌]

文藝 2009年 02月号 [雑誌]

 “柴田元幸特集”だ。いやはや引っ張りだこだね、柴田さん。しかもオースティン「マンスフィールド・パーク」、コンラッド「ロード・ジム」、フォークナー「アブサロム、アブサロム」、シェイクスピアマクベス」、ディケンズオリバー・ツイスト」、ジェームス「ねじの回転」、ミラー「北回帰線」、スターン「トリストラム・シャンディ」など十数作品の冒頭を訳して載せている。本当に翻訳が好きなんだな。
 岸本佐知子さんとの対談で、河出の「世界文学全集」の第3期でコンラッド「ロード・ジム」の訳を出すことが決まったと知る。


 帰りのバスで三遊亭圓生「包丁」を聴きながら帰宅。


 外市用の本約140冊を段ボールに詰めてコンビニへ持っていく。これで金曜日には往来座に着くだろう。10日・11日の外市では昨年の1月にもおこなったように新春を祝い、文庫・新書200円均一を実施する。文庫だけで約100冊選んだ。値の張る文芸文庫やレア本はほとんどないけれども、自分なりに面白そうな文庫を選んだつもり。来た方のお眼鏡にどれだけかなうかが楽しみだ。


 夕食を済ませてから、立川談春「赤めだか」を読了。やっぱり面白い。9日の独演会が楽しみだ。